大杉谷自然学校の森がNHK取材班に同行し、番組制作に大きく関わった番組が昨年から数回TV放送をしている。昨日もその素晴しい番組のオンエアを観た。番組の中では、私がぶらりと登山しただけではとうてい見ることのできない映像が数多くあり、大台町住民ながら初めて見る町の美しい映像に感嘆の連続だ。いつも番組を観ても思うことは「水」という存在の素晴しさである。町を流れる美しい水は特殊な地形がもたらす雨から始まる。留まらぬ水はやがて地下で濾過されながら、動植物を育み、川に流れ込んでは里に暮らす人の営みを支える。そしてやがて海に流れ込む。私は大台町の住人になる前から、道家の開祖「老子」が好きだった。老子の有名な言葉に「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」という言葉がある。「水は決して争わず主張もせず、いかようにも形を変えながら、謙虚に低いところに流れ込むことを善しとし、また岩をも打ち砕く真の強さも持ち合わせる」という言葉。水のように謙虚な強さを持ちたいと思う私が、宮川に惚れ込みこの町に住んでもうすぐ8年。日本一大雨の降るこの町がなぜこんなに魅力的なのかをあらためて知り、旅をする水の懐の深さに気付く。そしてますますこの町が好きだと思うのだ。
(写真は 大杉谷原生林内の源流)
photo by 森
正裕
essay by 西村博美
|