旅日記 第一章『 パリ編 』

その2


 電柱のこと

当時、暇を見つけてはパリの街を歩いていたように
思います。最初は特に、外国の嬉しさもあり、
やれ外国だ、きれいだ、文化的だ
とかウキウキと街を歩いていました。

ただ『なにかがおかしい』という違和感も
頭をよぎっていました。
日本とは全然違う何かを感じていたのです。
『あっ、そうか』と気づいたのは数日後のことでした。
ここには電柱がないのです。

ないというか、全部地下ケーブルになっているという
ただそれだけのことでした。
パリという街にはあまりにもアタリマエに
電柱がありませんでした。

先進国では珍しいことではないのでしょうが、
私には相当ショックな発見でした。
それ以後、それまで以上にパリの景観について
注意を払うようになりました。




電柱のないパリのまちなみ