20日目 富良野

起きた。
まだ脳の半分は寝ているが、いつもどおりテントのチャックをちーっと開けて、空模様を確認。
そして携帯電話のwebで天気予報を確認。
今日は晴れ。今日もちょっと肌寒い。
便所までフラフラ歩き、ブルブルッとかまして、歯を磨きながら、他の旅人に「おはようございます」と挨拶をされたりして。
どこのキャンプ場に泊まっても毎日の朝は大体がこんな感じ。

テントをバイクから遥か遠くに張ったので(大荷物で徒歩5分)、帰りがしんどい。。
まだヒザが痛い。
全く良くならないオレのヒザ。一曲書けそうである。
「ヒザ再起不能」。
それくらい痛い。ヒザ癌?

とりあえず荷物をバイクにくくりつけて、出発。
今日も一日が始まった。



今日は一日、「北の国から」ツアーをしよう!とか思い、富良野駅前のコインランドリーに洗濯物を放り込んで「北の国から・資料館」、そして「拾ってきた家」へ。
この家は、TVドラマ「北の国から」という作品が、現代の飽食・使い捨ての世の中に放つひとつのメッセージである。続けて「石の家」も見に行く。
「北の国から」は解り易い。いうなら「キャッチー」である。
いろんな視点からこの作品は見ることができる。

「拾ってきた家」の前に焼肉屋がある。ジンギスカンと書いてある看板。現在11時。
そういえば北海道に来たのに、まだジンギスカンを体験していなかった。ちょっと早いがここで昼食をとることにする。
この店は、ロケ地のすぐ前にあるせいか、撮影中のスタッフもよく利用していたらしい。
店内にかかっているホワイトボードには、「ジンギスカン定食(純のお気に入り)1200円」、「カルビー定食(蛍のお気に入り)1600円」とかいろいろ書いてある。
「観光地にあるだけでボロ儲けですなぁ」、とか思わずに私は迷うことなくジンギスカン定食(純のお気に入り)1200円を注文。づばっと注文。
あ、ついでにビールもください。すいません。


サフォークジンギスカン独特の鉄板ではない普通の四角いガスコンロの金網っぽい鉄板に載せながら、今後の進路を模索する。
そもそも最初の目的がとりあえず北の方角へ進む、っていうこの旅も、とっくに日本最北端を通過し、さらに時計回りで北海道を半周し、とうとう北海道の中心、富良野まで来てしまったわけで。
つまり、もう行くところがないわけで。

「・・・旅人迷子。」と、なんとなく口から放たれたその言葉を、無理やり口の中に押し込むようにジンギスカンを詰め込む。そして焼く。また詰め込む。しかし溢れる疑問。

Q:僕は迷子なのか?

A:何とかなるでしょう。

Q:人生の迷い子なのか?

A:なんとなく生きていけば?

あと2ヶ月ほどで20代も終わる僕に、その自問自答は永遠に繰り返されるのであった(ジンギスカンがなくなるまで)。
あ、洗濯物を取りに行かねば。




ところで今日の夜は雨が降るらしい。安ホテルに泊まろうかな〜、とか洗濯物をたたみながら思ったが、なんとなくもったいなく、雨キャンプを決行!

やるぞ、俺は!!
俺はやれば出来る子っ!!

と、鼻息を荒くしながら買出しへ。
上富良野のダイイチというスーパーで、ジャガイモ3個・玉ねぎ2個・ニンジン1本・チキンコンソメ・ソーセージ・岩塩・アトランティックサーモン・ペンネ・チューブでバター1/3・日本酒「男山」、さらに小説を4冊購入!これでしばらく雨が降り続いても大丈夫!
あとは、時間制限のない無料キャンプ場に泊まって、雨雲が通り過ぎるのをやり過ごす作戦だったのですが、鼻息の荒い僕は「せっかくキャンプするんだから、出来るだけ高度の高いキャンプ場に泊まろう、フガー」!!
と山道をドンドン登り、山の中腹(高度1000m)にある有料(一泊500円)のキャンプ場へ。
500円を受付で支払い、明るいうちにテントを張って、夕食の準備を。

まずはサーモンをバター焼きで。それをアテに日本酒を飲む。
目の前には十勝岳(2077m)、左手には「男山」。
まさに絶景かな。これぞ男のキャンプなのである。
フガーッ。テンションアップ!

続きましては、ジャガイモ、玉ねぎ、人参、ペンネをコンソメと岩塩でポトフ風に。
まずい。コレはまずかった。テンション少しダウン。



そんな感じで一人で上がったり下がったりしていると、突然背後から「一緒にいいですか?」とオバタさん(37歳:HONDA XL250)が声をかけてきた。
すでにほろ酔いの僕は「どうぞどうぞどうぞどうぞ、つまらないところですが。いえ、つまらないぼくですが」と、ホントは自分のことを面白いのにとか思っていることを隠しつつ、一緒にポトフをつまみ、やはりオバタさんにとってもまずかったらしく、ポトフはあまり手を付けられず、「ジンギスカンを食べませんか?」とおっしゃった。真顔で。
オバタサンのコンロ「オプティマスノヴァ」の上にはスーパーで売っているフライパン(28cm・500円相当)。
そのフライパンに、北海道のスーパーで売っているラム肉たれ付けジンギスカン徳用500gパックをドバッと。
慣れた手つきでキャベツをナイフでシャッシャッとその上にたっぷり。
その後は宴会。彼はビールをイッパイくれました。僕はお返しに男山を男らしくついであげました。。ポトフはやはり残りました。

その後5時間ほど飲みまくり、意気投合してしまった二人は
「近くに露天風呂あるんですけど行きませんか?混浴ですけど」
「え〜、混浴ですか〜?うふふ。え?混浴?・・・・い、い、い、・・・いっときますか!!」
裸の付き合いを求めて近くの吹上げ温泉露天風呂へ、ランプを持って。泥酔で。
フラフラと真夜中の山道を歩く2人はまるでゾンビのようだった。


温泉には灯りがなく真っ暗。空も曇っており真っ暗。真夜中なのに先客多数。
お湯はかなり熱く、長い間浸かっていられませんが、混浴なのでギャルとかも来ます。
ギャル達は明るい日中には恥ずかしいので、こんな夜更けにくるのだ、とオバタさんご満悦。
すでにリサーチ済みだったのかオバタサン?ランプの火力が気のせいか上がっているような気がします。
ただしギャルは水着を着ていますが。
でも脱衣所はないので、生着替えとか見ましたよ。おばさんの。


帰り道もふらふら歩きながら私は、
「あぁ、なんとなく生きていこう」
と、なんとなく思った。

風が少し出てきた。向かい風だった。





本日の出費

¥580・・・・・・・・・・ガソリン4.8g
¥550・・・・・・・・・・コインランドリー
¥105・・・・・・・・・・ミニ洗剤
¥500・・・・・・・・・・「北の国から」資料館入館料
¥200・・・・・・・・・・「拾ってきた家」入場料
¥1200・・・・・・・・・ジンギスカン定食
¥500・・・・・・・・・・生ビール
¥270×2・・・・・・・タバコ
¥2415・・・・・・・・・小説×4冊
¥1545・・・・・・・・・スーパーダイイチ
¥500・・・・・・・・・・キャンプ代



合計 7785円

本日の走行距離 134km

総走行距離 5322km



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