多気町の国際交流員であるミッシェルリハさんに、
アメリカについてのことや、日本に来て思ったこと感じたことなど、
いろんなことを書いてもらっています。
通過儀礼
3年ぐらい前、大学ではじめて日本の成人式について聞きました。今年、本物を見ることができました。美しい着物を着ている女性も、スーツを着ている男性もいたるところで見られました。その日、私はアメリカにも成人式があるかとよく聞かれました。最初は『いいえ』と答えましたが、あることを思い出しました。
アメリカはいろいろな文化が入っているので、母国の伝統を続けている人々が成人式のようなものを行っている場合もあります。例えば、アメリカに多いユダヤ人は、男の子が13歳になるとバル・ミツバー、女の子が12〜3歳でバト・ミツバーというお祝いの式をします。でも、一般的なアメリカ人は成人式を祝いません。ただ、年齢により、いろいろな通過儀礼みたいなものがあります。例えば、16歳になると運転免許証を取ります。そして18歳になると選挙権が与えられます。最後に21歳になると法律的にアルコールを飲めます。しかし、個人の誕生パーティ以外、正式な行事はありません。
私が思い出したのは、高校時代のプロムというダンスパーティです。高校でいろいろなパーティがあるけど、プロムは4年生が最も期待している舞踏会のようなダンスです。毎年開催されて、あの人といっしょに行けたら、高校時代は成功になると思うようなパーティです。どうしてこのことを思い出したのかというと、まず、成人式と同じように両親がいっしょにいかないし、正装をします。
プロムへ行く前、男性から女性がコサージュを、女性から男性が衿に飾る花をもらいます。それから、すてきなレストランへ食事に行くのこともあります。そしてお金があればリムジンで行きます。私と友だちは、次の日に遊園地へ行く予定があったので、お金を節約するため、代わりにキャデラックのレンタカーを借りて、母がみんなのために心をこめて作ってくれたお寿司を食べました。
会館はとてもきれいに飾られており、花がいたるところにありました。女性と男性がそのとき流行っている音楽にあわせて踊っていました。私たちは本当の舞踏会に行った気分でした。でも、プロムのハイライトは写真を撮ることです。会場についてから踊る前に写真を撮ってもらいます。プロムの1ヵ月後ぐらいにその写真はできあがってきて、セットで買うことができます。プロムへ行った女性の誇りは、友だちにその写真を配ることです。今でも、友達がくれた写真はアルバムに貼ってあります。先月、友だちに連絡して、今月の広報に載せるためにその写真を送ってと頼みました。私があげた写真だけでなく、他の写真も送ってくれました。この写真は私の家で食事の後に撮ったものです。どれが私か分かりますか?
写真が届いてから、友だちにお礼の電話をしました。プロムについて話しました。もう20年近く経ちましたが、まだその夜のことを嬉しく思い出します。プロムに行かなかったら、寂しく思うでしょう。現在の若者は誰でも同じように感じるに違いありません。だから、毎年晩春になると美しいドレスやタキシードを着ている若者が見られます。若者の多くは、両親なしで食事に行くのは初めてかもしれません。これだけで大人になったように感じるでしょう。プロムは日本の成人式と同じように、アメリカの若者の通過儀礼だと思います。