大杉谷地域は国立公園や県立公園、一級河川宮川上流部を含む自然に恵まれた地域であり、ここでは自然の恵みを生かした営みが行われていました。ところが、高度成長と主幹産業林業の不振から、多くの住民が地域を離れ、過疎化と高齢化が深刻な地域となりました。同時に昔ながらの生活や文化は途絶え、ここ数十年で静かに、あまり知られることもなく消え去っています。
経済的な繁栄を求め、日本社会の構造は激変しました。そして、同時に高度成長期以前には見られなかった様々な社会問題が発生しています。その問題の多くは経済発展に伴う社会の変化に端を発すると考えられます。これまでの大量生産、大量消費により経済的な繁栄のみを求める時代から、地球の存続を考えた、持続可能な社会の実現化についての具体的行動を問われる時代がきているのです。
人類は価値観が激変する時代を何回も繰り返して今日に至ります。今、大杉谷地域における自然とともに暮らした地域社会の形は、その激変の終焉時期を迎えていると感じられます。そして、この激変の渦中にいるからこそ、地域から学び、次世代に引き継ぐべきものについて考える貴重な機会を持つことができるのです。私たちはこの機会を活かし、失われようとしている価値観や自然観など日本古来より培われてきた意識を次世代に引き継ぐための事業を急務とし、次世代がそれらを抽出し、新しい社会に適応した、新たな文化を作り出す力を手助けしていきたいと考えています。
私たちは現代の消費型社会に対して問題提起をし、日本の地域社会に残された循環型社会へのヒントを環境教育及び地域経済に反映する事業を行い、持続可能な社会の創造に寄与します。
大杉谷自然学校は、平成13年から既に6年の活動実績を有していますが、法的な権利を持ち、義務を負うために法人格を取得するに至りました。
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