第2回探検

2001.7.20
第2回目は川くだりです。
おなじみS氏のレポートでお楽しみください。
祓川を下る
  『松阪を流れる川で海まで唯一、「ダム、堰がない、護岸工事のしてない川」それが祓川』そんな話を聞いていた探検隊はカヌーで海まで川を下る計画をした。

 隊長と共に綿密な計画をし、決行は7月20日(海の日)、法田町櫛田川分水を起点とし、伊勢湾まで約15kmの行程であった。今回の隊員は隊長とD氏、S氏、H氏とH氏の息子、かずき(9歳)とりゅうた(6歳)、そして超看板屋N氏である。「さあー、いこーか!」隊長のいつもの掛け声に促され躊躇するまもなく、隊員全員川に入りカヌー、ボートに飛び乗ると、川を下り始めた。
出発地点 さあ、行こうか!(by 隊長) ここは本当に松阪?
 しばらくすると、りゅうたが叫んだ。「いっぱい大きなクモがボートにおるよ!」H氏は超クモ嫌いであった。川の茂みにはクモがこんなにいるとは隊員全員知らなかった。ボートがやっと通れる川幅を過ぎると、一気に川幅が広がり水量も増してきた。隊長、N氏は見事なパドルさばきで水面を駈け進む。そしてやや定員オーバーのボートは遅れながらも決死の覚悟で追いかける。

伊勢場に入ると川底には魚の群れが見え、皆があたかも四万十川を下っている様な錯覚に陥った。そして伊勢場を過ぎ、稲木に入ると水量は増し、川を覆う様に木々が生え、うっそうとした森に囲まれるアマゾン川のようだ。

その時、N氏が何か叫んでいるのを隊長、ボートの乗組員が聴いた。「どうしたんやーN氏!」「鳥のひなをたすけたぞー!」そこにはほんの3pほどの水鳥のひながN氏の掌に乗っている。川面に覆っている木の巣から誤って落ちた様だ。D氏が言った。「N氏、どうする?」N氏「・・・」
かずき「かわいそう・・」皆大きな息を吸った。N氏は思った「このまま川へ戻しても、たとえ草はらにおいても・・・。」川面に漂いながら、しばらく隊員達の沈黙は続いた。「N氏!ひなを!」と言った隊長はカヌーを岸によせ、茂みにひなを泣く泣く置いたのであった。

そんな痛い思いを胸に隊員全員川を下り続けると、「滝があるぞー」隊長が叫んだ。
S氏「いったん陸に上がりましょう」  N氏「川に逆らわず川にしたがうの!」  H氏「人生の川とは大違いだな」  N氏「さあ!いくわよー!」隊長「それじゃあまるで映画『激流』のメリルストリープじゃないか!」
N氏の「いくわよ!」の掛け声で激流に皆が突っ込んでいくのであった。最後のボート班も白濁の激流に突っ込んだ。息を呑むようなその瞬間、その激しい流れにされるがままのボートはきりきりと回転しながら、激流を乗り越えたのであった。

YSK2探検隊は明和の浜田漁港にたどり着き、、、T隊長、超看板屋N氏、H氏、かずき、りゅうた、S氏、D氏、そして隊長夫人、息子のけいと君も参加し、浜辺で焼肉をたらふく食べた。隊員全員激流を制覇した満足感からか、(ほんとは朝から何も口にしていなかった為腹が空いていた)あっという間にたいらげてしまった。

そのころD氏は「ちょっとカヌーで遊んでくるわ」と言って上流に向かって湾に漕いで出ていた。前から浜辺で遊んでいたかずきはD氏の後を追うように泳いだ。そのとき、N氏がつぶやいた「Dさんってカヌーむっちゃうまなったなー」「ものすごく速く進んどるやん」、S氏もH氏に言った「かずきってスイミングいっとんの?」「いってないよ」「けど、カヌーに追いつきそうなぐらいで泳ぐやん」皆ほろ酔いかげんで、海の波の上のその二人を見ていた。

そのとき、隊長がつぶやいた「あれ潮に流されとるんとちゃう?」その時、突然D氏のカヌーがひっくり返り、かずきと抱き合うようにカヌーにしがみ付いた。N氏は「俺!助けてくるわ!」と言ったかと思うとカヌーに飛び乗り湾に漕いで出た。浜辺からは声も届かず、小さく見えるその光景に皆、なすすべがない。N氏が戻ってきて皆に言った「あかんわ、あそこまでではいけやんわ・・・」S氏は「N氏がいけやな、誰も行けやんやん」 隊長とH氏は自分の息子が流されているにもかかわらず「そのうち戻ってくるさ〜」

S氏は居てもたってもいられず、愛車キャンターに乗り、浜田地区を通り対岸まで突っ走った。
ようやく、かずきとD氏のもとにたどり着き、護岸にいるかずきを救助し、トラックにのせ、カヌーにしがみ付いているD氏を助けようと「ロープ投げるで捕まれ!」と叫ぶと、「いやな〜、貝で痛いで登れやんけど、お前のサンダル貸してくれたら自分で脱出できるで貸してくれ。」

S氏「・・・・せっ、せっかく必死で助けに着たのに、こいつ沈めたろか、、」とも思ったがサンダルを渡し抱き起こすように助けだすとD氏は潮に流され、漂流したのは嘘かのように「俺はカヌーで岸までかえるで、お前はかずき乗せてたってな」と平然と言った。S氏はかずきと共に浜辺に帰ると、T隊長、H氏は気楽そうに「大丈夫やった〜?」とS氏にいったのであった。

 全員そろって落ち着いた隊員たちは、ひとり慌ていたS氏を尻目に「次はどの川を下ろうか」と相談する無謀な探検隊であった・・・。
快適クルージング? 感動のゴ〜ル! 夏はやっぱり焼き肉だ〜