第1回狩猟体験は大杉自然学校の先生と、その募集で集まった子供たち、合わせて20人の参加で行いました。
全国でも珍しい企画という事で、今回はテレビ局も同行する事となりました。
まず入山する前に、今回の案内をしてくれる有害駆除のリーダーより、注意がありました。
「実際に鹿猟をしている所を見てもらいます。猟は真剣勝負なので声を出したり体を動かさないよう、身を伏せてじっとしているように」
という、子供たちにとって絶えられるのか心配になる話しでした。
いよいよ猟犬2匹と、【勢子】というリーダーを先頭に山に入りました
山に入ると銃のカバーをとりました 。そしてロープにつながれた猟犬を放すと、一目散に山を捜索しに、走り出していきました。本格的な狩猟の始まりです。
「この山に鹿がいたら5分位で追い出してくる。鹿が逃げ出したらここにまず走ってくるから、しばらく動かないように」
と。みんなは声を押し殺し緊張しています。
10分位経って、無線で狩猟仲間から、犬が包囲網から抜けていったとの連絡がはいりました。この山には鹿はいなかった、という事らしいです。
残念、というか、ほっとしているというか、子供たちは緊張感から解放されながらも、この体験を楽しんでいる様子。
猟犬2匹は、鹿の居る所まで探しに行っているので、その間、【勢子】さんから、シカ、イノシシの寝る所や、追われた時に逃げる道、足跡によりシカ、イノシシを見分ける方法など、実際に現場で説明を受けながら山を登ります。
30分位で、【待ち】と呼ばれる場所の一つに着きました。
「先ほどまでここに狩猟仲間が居て、鹿がこの道を逃げて来るのを待ち構えていた」
という話をしていた時です。上の方で、ガサッという音。
「静かにして!」
と言った瞬間、大きな角をした鹿が私達の方に向かって走って来ました。【勢子】さんは、安全の為に銃から弾を抜いてあったので、撃つことが出来ませんでした。鹿は私達を飛び越え、下の方に逃げ去ってしまいました。鹿のすぐ後ろには、やはり2匹の猟犬がついていました。この犬たちは遠い所からこの鹿を追い出し、ここまで追跡して来たのです。
「下の方に鹿が逃げていったので、すぐに廻るように」
と仲間に指示。10分ほどしてバーン、バーン、2発の銃声が鳴り響きました。
「どうやった?」
と聞くと、
「当たらんだ、逃げられた」
との返事。
後で【勢子】さんが言うには、「いつもなら犬の発信機を聞いているので、獲物が近づいて来るのが分かり、待ち構えるのですが、子供たちに説明をしていて、発信機を見ていなかった」と、とても自分の失敗に悔しそうでした。
私はシカの白いおしりの部分しか見えませんでしたが、子供たちの中には、
「大きな角が見えた!」や「あたりそうでこわかった!」など、体全体を見た子もいて、超興奮していました。
お昼休憩が終わったら、次は解体作業です。実は昨日、取れなかった時のためのシカを確保してあり、それで実演するらしいです。 解体する前、子供たちの中には、「痛そう」とか、「かわいそう」と言う子、また、「おいしそう」と、ちょっと怖いような事を言う子もいました。
狩猟(生き物を殺して食べる事)は、昔から日本の文化です。ひとつの命が失われても、このように再び人間の命に変わるのです。この子供たちに、傷をつけると血が出る、それを見て、相手に対する痛みや思いやりを、少しでも分かってもらえたら、という話などを聞いて、本日の狩猟体験は終了です。
大杉自然学校の先生からも、シカやイノシシに限らず、魚やほかの動物などもその命があるので、しっかり、残さず食べてほしいとお話がありました。
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