■ラ・スペコラ博物館(フィレンツェ)
芸術新潮で紹介されていて初めて知りました。行ったことは残念ながらありません。
トレヴィルから発行された「バロック・アナトミア」でその魅力を知ることができます。
何が展示されているかと言うと、人間の解剖模型で、作った人は芸術作品として
作っていなかったのかも知れませんが、その圧倒的な存在感にまいってしまいました。
解剖模型ではあるのですが、1点ずつに物語性を感じます。
「よくぞ作ったもんだ」と思わずにはおれません。  

■ベルギー象徴主義の画家たち
1982年、東京国立近代美術館で
【ベルギー象徴派展】が開かれ、見ました。
その後、もう一度見たくて、
巡回地である兵庫県立近代美術館にも行ってきました。
なかでも、フェルナン・クノップフ(1858年〜1921年)、
ジャン・デルヴィル(1867年〜1953年)の
作品が好きで、作品集を探し歩き、数冊手に入れることができました。  
フェルナン・クノップフは、油彩画のほかに水彩、パステルによる作品も美しく、
自分の作品を写真に撮り、それに着彩するという作品も残しています。
油彩「愛撫」は、最も好きな作品の一つです。
ジャン・デルヴィルの作品には、
いつも美しい悪魔たちが潜んでいるような気がします。
「トドナの信託」「サタンの宝」「魂の愛」「プロメテウス」
そして、オルセー美術館所蔵の「プラトンの学園」など、
なんとあやしく美しいことか。

■グリューネヴァルト(画家)
グリューネヴァルト15世紀〜1528年(らしい)この名前は俗名らしく、
実名はマチス・ナイトハルト・ゴールドハルトであることが20年ほど前に
わかったらしいのですが、この人の作品は、
イーゼンハイムの祭壇画しか知りません。(しかも本物は見たことがない)
1983年、芸術新潮で、史上最高の宗教画「グリューネヴァルトの全貌」という
特集を見てひとめでくぎづけになりました。
フランス、アルザス地方コルマールにあるウンターリンデン美術館に所蔵される
この作品は13面(「キリスト十字架図」をはじめ、「受胎告知」「生誕」
「復活」など)のパネルから構成され、
閉じられた状態の中央にあるキリスト十字架図は、今まで目にしたことのない
キリスト像でした。傷だらけ、痣だらけのキリスト像に
圧倒されました。「セントアントニウスの誘惑」に登場する怪物たちもいきいきと
描かれ魅力的です。ぜひ本物を見てみたいものです。


■ヤン・ソウデック(写真家)
1935年チェコスロバキア・プラハ生まれ。
何かの雑誌で、この人の写真と名前を知りひとめで好きになってしまいました。
今、家には1993年トレヴィル発行の「SAUDEK」という写真集1冊があります。
ほとんどの写真がモノクロで手彩色であり、
エロティック、暗く重い、そして死を感じさせる作品たち。
絵にしても、写真にしても、こういったものに強く魅かれてしまいます。

■天野可淡 あまのかたん(人形作家)
1953年〜1990年11月1日。
カタンドールと呼ばれる作品たちは、病的で、
今にも死んでいきそうな雰囲気を漂わせています。
もともと人形は生きてはいないのですが……。
その危うさが、いっそう「命」を感じさせます。
当たり前のことですが、「生」と「死」は表裏一体で、
「生命」の誕生は、同時に「死」の誕生でもあるのだということを
感じます。
男性には生理的に作れないのではないかというような美しさがあり、
すべての作品が好きなのですが、中でも指が異常に伸び、
蝙蝠の翼のような薄い被膜が指の間にある横たわる赤ちゃんが泣き叫ぶ作品は、
気になる作品のひとつです。
ヒエロニムス・ボッシュの作品「悦楽の園」(3連祭壇画)のうち右翼部分
「地獄」中央部あたりに描かれている「樹幹人間」を作品化したものもあり、
影響をうかがわせます。
作品集の写真を撮っているのは、吉田良一氏。写真も見事で、
彼もまた人形作家の一人です。