22日目   留萌

留萌へ向かっていた。
今朝、「とりあえず札幌に戻ってみようかな」とか思って、30分ほど南に走っていたが、その南方の上空がどうやらドンヨリとしており、「絶対あっちのほう雨降ってくるわ・・。」な感じだったので、まだ比較的晴れている西方向へ進路を変えようと地図を見たら、留萌が近かったので。

9:00
空には薄く雲がかかっている。気温は15℃前後だろうか?かなり肌寒い。気がつけば8月も終盤、あちこちで赤とんぼが飛んでいる。
「あぁ、もう夏も終わりか」と、あちこちで舞う赤とんぼを見ながら時速100kmでバイクを走らせていると、前からヘルメットにその赤とんぼが寄ってきて、あ、なんか風流、・・・っていうか、正面からヘルメットに突進してきてぐしゃっとつぶれて汁がぴゅっと出た。その後もぴゅっと。次第にチュっとか。

そんな感じで命の儚さについて考えながら2時間ほど走っていると、いつの間にか太陽も出てきて、11時頃に留萌へ着いた。
留萌、おそらく北海道で一番お気に入りの場所である。
北海道2日目にもここでキャンプを張ったが、なんせ良いのである。夕日が。
さすが「夕日の町」と看板を上げているだけのことはある。

そのときにテントを張っていた場所に着いた。
とりあえず、おとついの嵐で破損した、ずっと濡れたままだった、もう使えないテントを乾かす。
いままでありがとう。成仏してくれ。
ついでに寝袋も干す。
それが乾くまでのあいだ、近くのスーパーに買出しへ。
十勝ワイン「トカップ」とベーコン・粉チーズを買う。リベンジである。ポトフである。
おとついの「ポトフ風スープパスタ」はまずかった。理由はもう調べ済みである。おとついのアレには白ワインと粉チーズが入っていなかったからだ。今日は完璧である。
トカップがコルク栓なのを抜かりなく発見し、違う店でコルク抜きも購入、早速ポトフリベンジにとりかかった。

まず、ワイン・水・コンソメ・塩をコッフェルで沸騰させる。その間に、ジャガイモ・玉ねぎ・人参を洗い、適当な大きさに切る。
沸騰したらそれらとベーコンをそこへぶち込む。ベーコンは全部入れるのは多かったので、半分はワインのあてにフライパンで焼いて食べた。
沸騰してから20分、玉ねぎが程よく柔らかくなってきた頃に、パスタを入れてさらに12分煮込む。
そういえば嵐の日に先割れスプーンをどうやらなくしたようで、煮込んでいるあいだに再びセイコーマートへ。、カレー用のプラスチックスプーンをもらった。黒ビールも買った。

さあ、そろそろ12分。もういいだろう。火を止めて粉チーズを直接振り掛ける。見た目は前よりうまそうじゃないか。やっぱりオレは料理の天才、同じ失敗を繰り返さないのである。さあ、いただきまーす!


・・・?


・・・あ。


あぁ・・・。



・・・ん?


あー!!やっぱりなっ!!


・・・。



・・・・やっぱり、まずいな。






なんかワイン臭いのだ。トカップ入れすぎた。しかし本屋で料理本を立ち読みして、ワインと水との配分は完璧のはず。もしや十勝ワイン「トカップ」のくせが強すぎたのか。恐るべし「トカップ」。とりあえず僕はそのトカップ臭さを目立たなくするために、左手にトカップを常に持ち、右手にはコンビニのカレー用プラスチックスプーンで交互に食べたり飲んだり食べたり飲んだりしながら、ほら、これならワイン臭さも全く気になりませんね!食べて、飲んで、食べて、飲んで。ほらね。このリズム感。なんだかグルーヴを感じるね。自分自身に。楽しくなってきました。食べて、飲んで、食べて、飲んで、そいっ!そいっ!そいっ!そいっ!食べて、飲んで、食べて、飲んで、そいやっ!そいやっ!そいやっ!そいぃやあぁぁぁっっ!!


私は海辺で一人、そんな感じでどんどん酔っ払っていった。





13:00
いろいろ一人でやっているうちに、干しておいたテントもすっかり乾いていた。
「もうこのテント、なんともならんかなぁ。支柱がポッキリ折れとるしなぁ。」
実は今回、何かの役に立つかも、と思い、針金を持ってきていたのを思い出した。
「ハッ!コレを使ってなんとかテントを張ることができるのでは?」とか思い、落ちていた小枝を折れた支柱にあてて、針金でぐるぐる巻いてみた。
あ、なんかいけそうである。骨組みを組んでシートを引っ張りながらピンと張る。
その瞬間ぽきっと小枝が折れた。
ボクのココロも折れた。っていうかスネた。

しかし、トカップでお祭り中の僕はすぐに復活。荷物をひっくり返して、持っているものでなにか使えそうなものはないか探してみた。

そして、・・・ありました!カッタークナイフ(アルミ製)!!!
これを折れた支柱同士にぐるぐる巻きつけて、ハイ!接続完了!!シートを張る。
骨組みがところどころ曲がっているせいか、超いびつなカタチだが、あと一晩くらいならなんとかしのげそうだ!さすがカッタークナイフ!昔読んだ本に「キャンプとはクナイフを上手く使えるかどうか?そこなのだ!」と書いてあった。ボク、上手く使えてますよね!?このテントのゆがみぐあいに愛嬌すら感じます!!!











13:30〜18:00
それからぼーっと。日が暮れるまでぼーっと。
相変わらず留萌の夕日はきれいで。


そろそろ帰るかな。

新日本海フェリーに予約の電話をいれる。
「小樽から舞鶴までのを、・・・はい。・・・はい。・・・あ、えーと・・・あさってで。・・・お願いします」


18:30
その後、晩御飯の買出しを。カレーやらスコッチやら買って、昼のポトフの残り汁でご飯を炊く。
ご飯を炊くのは難しい。いつも上手くご飯が炊けない。必ず焦がしてしまう。今日も少し焦げ臭くなってきて、ふと気がついた。
「あ!底にもう一枚ふたを使って二重底で厚くして火にかければ焦げないのでは!?」と、炊飯時間15分のうち10分が過ぎて残り5分ほどになったコッフェルの下にもうひとつステンレスのふたを敷いて火にかけてみる。
そして炊き上がったご飯は、ちょっと焦げていたが、今までで一番おいしく炊けた。
「次からは完璧なご飯が炊けるぞ!」と喜ぶ僕だったが、すぐに明後日フェリーで帰ることを思い出し・・。
この旅で一番上手に炊けたご飯にカレーをかけて、それを無言で食べた。



19:30
なんだか満足した僕は、ゆがんだテントの中で横になっていた。

いつしかテントの外では小雨が。テントの外側に当たる雨の音がぽつぽつと心地よく響く。

僕はスコッチを舐りながら、ウットリとその音を鑑賞。










本日の出費
ガソリン7.2?・・・・・・・814
十勝ワイン 白・・・・・・900
粉チーズ・・・・・・・・・・・198
ベーコン・・・・・・・・・・・198
缶切(コルク抜き付き)・100
黒エビス・・・・・・・・・・・301
ウーロン茶・・・・・・・・・・88
ビール500ml・・・・・・・258
プリングルス・・・・・・・・118
海草サラダ・・・・・・・・・220
カナディアンクラブ・・・・500
カレービアンコ・・・・・・・248


合計 3943円

本日走行距離  109km

総走行距離   5581km





本日の風景                        旅日記 北海道編トップへ

テントを針金で修復してみた。