――やまいものかい――

 修一は自他と共に認めるスケベな男だ
何せ、修一の離婚歴というのもそのスケベさが災いしたものだ
元の奥さんと修一には、ある約束があった
・セフレ黙認
・セフレに本気にならない
・セフレとの間に子供をつくらない
が、しかし、世の中そんなに上手くいくものではない
それでは何のために結婚したのかわからないではないか
自分との結婚生活を続けながら他の女を平気で抱く修一に妻は寂しさを感じ、次第に自分だけを愛してくれる愛人へと心が傾いていった
無論、修一は自業自得、其れを責められるだけの行動をしていない
2人は離婚した
これが3年前の話だ

修一はそれ以来、相手をとっかえひっかえ自由気侭に暮らしてきた
割り切って付き合いの出来る人だと思っても、暫くたつと束縛を始める
そんな頃に別れを繰り返す
修一の見た目は決して悪くはなく、長身でユーモアのセンスもあるためか女性に不自由することはなかった

そんなある日、修一は何処からかある情報を仕入れてきた
かなり胡散臭い代物ではあったが、快楽主義者の修一はその誘惑に抗いきることが出来なかった
一緒に試すことを了解してくれそうな付き合いの長いセフレの洋子に電話をすると、彼女は何時ものように修一のマンションへと訪れた
「なぁ...山芋を擦り降ろして全身に塗ると気持ちいいんだってよ」
修一は切り出した
「はぁ?」
洋子は当然のように驚いた
「いやよぉ、山芋なんて痒くなるでしょう?」
そう山芋は料理に使う時にちょっと手が触れただけでも痒く被れてしまう
それだけでも嫌なのに、其れを全身に塗るなんて、そう考えただけで洋子は嫌だと断った
「でも、むちゃくちゃ気持ちいいらしいから」
修一は諦めない
すでに洋子がくるまでに買い込んだ大量の山芋、其れを見せながら絶対大丈夫だと繰り返した
元来、修一と付き合っているくらいだから、かなりの快楽主義である洋子、大丈夫だと説得されてしまえば段々とそんな気になっていく
15分もする頃には、すっかり修一に説得され了解していた
部屋には山芋を擦り下ろす音が響く
洋子が皮を剥き、修一が擦り下ろす
単調な作業だ
30分後
ボールいっぱいの真っ白な山芋の擦りおろしが出来上がっていた
其れを見た洋子は全身が痒くなるような気がしたが、さきほどの修一の言葉にあえて其れを忘れることにした
修一は何時も自分の望む快感をくれる
今までそれを裏切ったことがない
愛情はないけども、修一を思い出しただけで疼き濡れてしまうような気がするのは、洋子の何時ものことだった
だから今日も、修一の呼び出しに下着を濡らしながらいそいそとやってきたのだ
脱がし、脱がされあい、などという情緒はもう存在しない
其々が衣服を脱ぎ捨てベットへと入る
洋子のほどよく肉のついた白い肢体が修一の目に写る
「いい?」
「ん...」
2人は手にべったりと大量の山芋をとり、蒲団が汚れるのも構わずに互いの体へと塗り始めた
「あ..すごいぬるぬるする...」
洋子は声を上げた
山芋は肌にべったりとつき、その粘着感と冷たさがその時は心地よく感じられたボールいっぱいあった山芋を塗り終わると、修一はまるでローションを塗った後のように洋子を抱きしめて体を擦り寄席始めた
体の間で山芋が粘る
白い糸を引き、2人が考えていた通りのねっとりとした感覚が包み込み始めた
「!!!!!!!!!」
しかし、突如2人は蒲団から起き上がった
修一も洋子も無言であった
白い山芋を垂らしながら、われ先にと裸のまま走る
行き先はバスルーム
何時も行為の後にすぐにお風呂へと向う2人はこの日も予めお湯をはっていた
シャワーで体を流すこともせず、激しい水音をたてお湯へと飛び込む2人
その顔は真っ赤に染まり、いや全身が真っ赤に染まっていた
「かゆーーーーーっっ!!!!」
そう、案の定2人の体は真っ赤に爛れていたのだ
それから暫くの間バスルームに響くのは2人の悲鳴と怒声

それから数日後、洋子は修一に三行半をつきつけ、修一は2度と山芋には手を出さないと誓ったそうな