――傷跡U――
わからない.....
わからない.............
誰かといることが嬉しく、同時に怖いのは何故だ
たった1度の恋愛の失敗
去っていった兄と弟の存在
それがどれほどに大きな傷だったのかを、今になって思い知るとは思わなかった
私はどうしたい.........
カイムは私にどうしたい、どうされたい
どうしたらいい........
私が欲しいのは今の継続、永遠に続くなど思わない
それでも、少しでも長くこの時が続けばいいと思っている
それは私の身勝手な思い、甘えていていいわけがないとわかっている
カイムを主に選んだは私、でもカイムを縛り付けたいとは思わないし、そうされる男ではないことも理解している。
私は自由だ.............
自由な人形.........自由な玩具..............
消えない傷は消えた、カイムが本当の主となったから、前の主はただの作り主に代わる。
心の傷は消えなくとも、胸にあった傷は消えた
誰に見せるわけでもないのに、そう思うとあっても変わらなかった傷
でも、深い深い私のコンプレックス.............
本当のコンプレックスは人形であること
でもそれは口にしない
主が必要なのではなく、カイムが必要なのだと思うことも口にはしないだろう
其れは大きな枷を強いることになるだろうから....
誰にも、誰にも言うことのない思い
2度と捨てられたくないと思いながらも、何時でも捨てろと言える言葉
気持ちなどなければ楽だっただろうか
気持ちなど気付かなければ苦しまなかったのだろうか
ただの人形として流れるまま、時が過ぎるまま
されど、持ちえてしまった気持ちは消えずに苦しめる
どうしたらいいのか、どうしたいのか、自分の気持ちすら決められぬまま
どうして、こんな風に私を作ったのか...........