■ゲイナーの状況。

・アデットが本日留守にしている。
・一日中、自分の部屋でのんびり出来る。
・ベローから回ってきた本が手許にある。
・その本は、イワユル裸の女性が満載である。


 「………」

別に、そういう気分でも無かったんだけどでもそうでもないような。
ペラリ、と頁を捲っては、大胆なポーズで微笑んでいる女性達と目が合って。
それが逆に妙な居心地の悪さに繋がり、目線を外そうと結局は肉感的な身体に目が移ってしまう。
こく…
無意識に、喉が鳴った。
光源は自分の正面に備え付けてあるTVスクリーンだけしかない。
ゲームに接続されていない其れからは、ただぼんやりと白く広がる画面に、無機質な調子で淡々と流れるニュース音声。
生理的な欲求。
自分の身体に違いないのに、男として勝手に反応するソレに、少しだけ嫌悪感を覚える。それなのに。
TV画面の薄明かりで余計いやらしく見える女性達からは目が離せず、何時の間にか右手はごそりとズボンの中に潜り込ませていた。
 「…っ、」
ああ、何と云うか。
この情けなさや、恥ずかしさ、いたたまれなさにはやっぱり慣れない。
自分を慰めて欲求を解消させるなんて。
合理的ではあるが、その実とても虚しい行為だと思う。
 「………、ふ」
しかし、理性が勝っていた頭も次第にその甘さに痺れ、思考は曖昧になっていく。
自分の右手は確実に自分の弱い部分を知っているのだ。
 「…、……」
呼吸が早くなる。
同時に吐き出す息も熱を帯びているようだった。
ゆるゆると昂ぶった其れを扱いている内に、自分が誰、だとか。どういう立場、だとか。
そういった常識や既成概念がどんどん外されていく。そんな錯覚にすら囚われて。

そう。………もう、何も考えられない。

折り畳んである布団に背中を預け、ゲイナーはその行為に没頭していく。
右手にぬるつく液体を感じて、僅かに頬が熱くなった。
自分は何ていやらしいんだろう。
だけど、手は離せない。止める事も出来ない。更なる快感を求めて強く、弱く掌を巧みに擦り付ける。

あの男がするように。

 「……っ、ぁ」
瞬間、背筋をゾワリとしたものが駆け上がっていった。
あの男。
ゲイン、の事を考えるだけで………何で?
自分でも訳が分からない。けれど、浮かんでしまったイメージはそう簡単には消せない。
脳裏によぎる、ゲインの顔、瞳、匂い。
 「…、っ、ん…」
気付いたら、右手はあの男の模倣をしていた。
何時も愛撫される、あの動き、あの熱さ。頭は、身体は腹立たしい程覚えていて、そのまま指先に伝達していく。
 「…っ、ゃ」
視界に広がる猥褻な雑誌。しかしゲイナーはもう其等を見ていない。
それよりも、もっと強い快感を、知ってしまったから。
先走りの液が指先にぬめる。それを絡めながら、一際強く、自身を握った。
ビクビク、と小刻みに震える身体。
(あと少し………っ)

そう思った、瞬間だった。



■ゲインの状況

・その日は妙に暇だった。
・時間もある事なのでガチコのメンテなどしてみた。
・するとデッキに居たコナにゲイナー宛の伝言を頼まれた。
・どうせ他にやる事も無いので、奴の部屋まで行くことにした。


…確かにノックを忘れたのは悪かったと思う。

 「ゲイナー、居るか?コナから伝言だ」
がちゃ!
無遠慮に扉を開けると、
 「〜〜〜…!!!」
何やら奥から奇妙な声が聴こえた。

 「明日の朝、学校行く前でいいからデッキの方寄ってくれっ…て………」
気にせず部屋に上がり、部屋の主を捜す。鍵は掛かっていないし、気配もある。在室の筈だが姿は見えない。
決して広くは無い部屋。
背もたれ代わりになっている布団と大きなTV画面に挟まれたその場所に、前屈みの状態で沈没しているゲイナーを発見した。
向こうは不規則に肩で息をしながら、信じられない、という顔でこちらを見上げている。
とりあえず、その格好と、その姿勢と、傍に落ちている小道具(と書いてオカズと読む)。
これだけの証拠物件が揃っていれば、この少年が何をやっていたかなんて、一目瞭然な訳なのだが。
 「な、ななな…っななに…っ」
予期せぬ男の登場に相当驚いたのか、あわあわと何事か口走ってはいるが、それは言葉として成立していない。
同時で左手で何か畳の上を探っている仕草。
ゲインは余りのお約束ぶりに肩を震わせながらその場に屈み込み、自分の傍にあったティッシュケースをその左手に乗せてやる。
 「御所望の品はこれかな?いやぁ、元気だねぇ青少年」
 「…って、ていうか、な、なななんでアナタがココに居るんですか…っ、どどーいう…」
ようやく言葉は繋がってきたが、今だに大混乱中らしい。何度も瞬きを繰り返しては、ゲインを凝視する。
 「デッキに行ったらコナにお前宛の伝言を頼まれてな。で、邪魔したんだが。…ゴメン、お楽しみ中だった?」
わざとらしく云ってやれば、面白い程ゲイナーの顔はみるみる赤面していく。
無言でそそくさと乱れたズボンを直しティッシュで右手を乱暴に拭いながら、最終的には背中を向けてしまった。
 「…ふ、普通ノックくらいするでしょう…!…もー、信じられない」
信じられないを通り越して、いっそ消えてしまいたい。とすら思う。
こんな恥ずかしい場面をよりにもよって、あのゲインに目撃されるなんて。
(しかもびっくりして…イ、イっちゃうなんて………)
死んでも云えない。
しかも中途半端な射精は、逆に自分をどうにも煽ってしまったらしく、
未だ中心はジリジリと鈍い快感が蟠って出口を探している。そんな感じがした。
 「悪かったって」
全然そうは思っていない声でそんな事云われても誠実さの欠片すら伝わってこない。ていうか早く出てって欲しいのに。
 「でもなぁ、ゲイナー」
少しだけ、トーンを落とした真面目な声。
背を向けているから彼がどんな顔をしているか分からないけれど、少しだけ気になった。
肩に触れる、ゲインの掌。其処から伝わる、熱い体温。

(………やばいっ)

そう思うよりも早く、ぐらりと視界が歪んだ直後、ゲイナーは自分の布団の上に組敷かれてしまっていた。
…といっても、布団は乱雑に折り畳んであるので背中を押し付けている格好になるのだが。
 「自分でやるより、もっと気持ちいい事…教えてやったろ?」
自分を見下ろす男の視線。深い蒼と碧掛った瞳を僅かに細めてこちらの気持ちを探るような。
 「………意味が分かりません」
ジロリとにらみ返す。
男はきっと知ってて云ってる。…自分も知っててその言葉に噛みついていく。
きっと勝ち目なんてないのに。
その答えが気に入ったのか、くつくつと低く笑ったゲインは、顔を近付けるとゲイナーの耳許へ吐息混じりに囁きかけた。
 「そうか、…じゃあまた一から教え込む必要があるな」
物騒な事を宣言した途端、ゲインが身体をずらし、ゲイナーのズボン付近に手を掛ける。
 「ちょ…!」
思わず上半身を起こしたが、その時は既にズボンと下着を一斉に降ろされ、中心を晒されていた。
ひくり…と起ちかけている、みっともない姿。
 「中途半端にイっちまったから、まだまだ欲求不満?」
からかうように云われて反論し掛けたその瞬間、ビクリと身体に強烈な電流が走り、ゲイナーが狼狽する。
よく見ると、何を思ったかゲインは両脚の間に顔を寄せていた。
現状が全く把握出来ない。けれど。
 「………っな、」
ねっとりと絡み付くこの感触は、…そう、知っている。
 「何して……っ、い、いやだ…!」
ゲインの唇が、舌が、自分の其処を愛撫しているのだ。
腰を退こうとすれば、がっちりとその太い腕で繋ぎ止められ、動く事もままならない。
それでも何とか止めさせようと、自分の脚の間にあるゲインの髪の毛を必死で掴んだ。
 「やだ…っ、やだって……ん、…っは、離して………!」
そんな所を舐められるなんてとんでも無い。
ぴちゃ、と其処から水音がする度に、いたたまれなくて泣きそうになった。
けれど。
生暖かい口内が。
巧みに舐め立てる舌が。
どうしようも無くゲイナーを責め立てていく。
 「…やだ…っ…ぁ」
ヒク、と顎が上がり、身体が無意識に揺れ、限界が近い事を否が応でも知らされる。
くちゅ…
その時。唇を少しだけ離し、上目遣いでこちらを見ているゲインと目が合った。
 「…っ、離し、て…ゲインさ……も、駄目です…って………」
 「いいぞ、このまま出しても」
切れ切れの懇願は、見事に自分の予想と外れた答えになって返ってくる。
それは、それだけは嫌だ。絶対に出来ない。
 「…い、嫌です!そんなの出来ません…っ、………んゃ…っ」
 「やるんだ」
反論を許さない声でそれだけ云うと、ゲインは再び唇を這わせ、中心をゆるく甘噛みした。
 「……んぅ……っ!」
前屈み、深緑の髪を両腕できつく抱き締めながら、ゲイナーは唇を噛む。
しかしその甲斐無く、結局其れは濁々とゲインの口内を汚してしまっていた。
 「…は、…ぁ………」
甘い余韻でガクガクと震える両膝から覗く男の顔。
こちらの顔を視線から外す事無く口許についた白い液体を舐め取っていくゲインに、何故か酷く興奮している自分が、居る。
 「気持ち良かったかい?」
ニヤリ。と、間髪入れずにそう訊かれ、妖しい感覚から我に返ったゲイナーは、
居心地悪そうに身体を竦めると、そのまま項垂れてしまった。
(…の、飲まれた)
信じられないにも程がある。
気持ちいいとかの問題でなく。
 「…もう、訳が分かりません………」
ぐるぐると脳内を駆ける出口の無い自分の気持ち。
何でこの人は自分に対してこんな事をするんだ。一体どうして。
どれだけ考えても、やっぱり分からない。

ゲインが、こちらを見ている。
早く、何か云わなくては。
罵倒でも非難でも、しようと思えばいくらでも出来る筈ではないか。
 「…」
ゆっくりと、息を潜めて近付いてくる顔。

…嗚呼、タイムオーバーだ。

何か云おうとした唇は、あっけなく塞がれてしまった。
乾いた唇。が、男の侵入によって、濡れて潤う。
(…へんな味)
内に拡がる妙な味に少しだけ眉を顰めて、それは自分の放ったものの所為だと気づいても、既に遅く。
口腔でスムーズに動く舌はそのまま、逃げ惑う其れに絡み付き、強く吸われて閉じた瞼と睫が震えた。
抵抗を忘れる程、極上の口づけ。
あれ程蟠っていた自分の疑問すら何時の間にか消し飛んでしまう、
そのテクニックに溺れかけていると、そっと唇が離れ、髪の毛を撫でる温かな感触に目を開けた。
 「…?」
 「もう少し、我慢出来るか?」
 「…がまん?」
意味が分からず鸚鵡返しに復唱すると、男は無言で正面のゲイナーの両脇を抱き込み、軽々とその場にひっくり返す。
盛り上がった布団に顔を押し付けられ、俯せ四ん這いの格好になったゲイナーは突然の事に驚いて、後方へと首を捻った。
 「…っぷは!な、なにす………っいぃ…!?」
ザアッと音を立て、急激に下降する体温。
 「少し気持ち悪いのを我慢すれば、もっと気持ち良くなれる。って事だ」
背中付近から聴こえてくるゲインの声。
直後、その屈辱的な格好のせいで露わになった後孔に、ぬるりと生暖かいモノが触れた。
 「〜〜〜い………っ!!!」
自然に出た叫び声は途中で寸断される。
考えるよりも先に理性が壊れそうになった。
ゲインの舌が、…舌が、有り得ない場所で動いている。
こういう時に限って、ビンビンに冴え渡ってしまっている身体、神経。
その所為で知りたくもないのに、ぬめり、ざらついた感触が蠢く位置が正確に分かってしまう。
熱く濡れた舌で周囲を舐められ、頑な其処は遠慮無くゆっくりと解かれていく。
 「ぅ…っ、く………」

気持ち悪い。
気持ち悪い。
きもちわるい。

今まで経験した事の無い奇妙な感覚が全身を襲う。
ヌル、と柔らかいものが其処を刺激する度、余りの羞恥で意識が飛びそうになった。
 「………ぅっ、こ、ん…なの…ひッ、非常識………っです…」
罵ろうにも上擦った声ではまるで威力は無く。
そんな自分が情けなくて、顔も上げられなかった。
 「非常識、ねぇ」
背後から聴こえる、笑みを含んだ声。
ゲインがずるりと舌を抜けば、張り詰めていた糸が解けたようにかくんと身体から力が抜けてしまう。
しかし完全に崩れ落ちないよう必死で両膝に力を込め、耐えた。最早意地にも似たゲイナーの脆弱なプライドが、そうさせた。
けれど、敵は二枚も三枚も上手で。
 「ここを?こうされるのが非常識?」
云いながら、舌が出ていったばかりの、たっぷりと唾液で濡れた後孔にズル…と躊躇い無く指を挿入していく。
 「………っ、ふ、…ぁ、」
突如襲った甘い衝撃。
それを逃がすように、きゅう、と力一杯布団の端を握る。
 「…じゃあ、ここでこんなに感じてるゲイナー君も、非常識だよなあ」
 「…っちが……っ、んン…、」
 「何が違う?…そんな声で云われても真実味が無いぞ」
後半は掠れた吐息だけで、そう囁いて。
ノロノロと指で割り広げたその隙間に、再び舌を差し込まれた。
くちゅり、と濡れた音。それに反応するように、正直にビクンと震える身体。
 「あ………っ、ぁ…」
本当にどうにかなりそうだった。
逃げたくて、抗いたくて、自然に軽く前のめりになる身体を、腰をやんわり掴まれ引き戻される。

布団の端を握り締める両手。気付けばその掌は汗でびっしょり濡れていた。
 「…や、そ…なトコ……いや…だ」
それでも必死で絞り出す声は馬鹿みたいに小さく、弱々しくて、云った本人ですら意味が解らない。
ずる、畳で擦れた頼りない膝が、汗で滑りそうになる。
 「云っただろ?一から教え込む、って」
静かな声。
そしてピチャリと濡れた音。
筋立った指と、器用な舌。その両方にじわりじわりと割り広げ、舐められて、力無く首を振った。
 「…ぁ、……ごめ、なさ………」
もうしないから。
一人でなんてしないから。
この底無し沼のような快感から早く、救い出して欲しい。
内壁を舌で這われ、ひくりと腰が浮く。
奥まで届かない、そのもどかしい愛撫はまるで拷問のようで。
 「ゲイ…ンっ、ごめんなさ……ふぁ…も…やだ……ぁ」
執拗に責められ、自分を支えている両膝は既に崩れ落ちそうになっている。
何度も畳で滑りそうになる膝を必死で立て直そうとするのに、それを見計らって舌の動きを変えてくる男に翻弄され、
もう自分が何をする筈だったのか、何をしたかったのかが分からなくなる。
だらしなくズルズルと崩れ落ちていく膝、しかしゲインに腰を持ち上げられ、先程よりも恥ずかしい格好にされてしまった。
顔は布団に埋もれているが、自分がどういう状況か、理解は出来る。
僅かに顔を動かすと、カシャリと眼鏡が音を立てる。ヒヤリとした弦がこめかみに辺り、一瞬だけ現実に戻った気がした。
ぼんやりと麻痺した鼓膜に流れ込んでくる、ニュースを伝える無機質な音声。
今この場に崩れ落ち、乱れきっている自分の現状に全く似つかわしくないそれが、更に深い羞恥となってゲイナーを煽る。
ズル、と引き抜かれる唾液と精液に濡れた指、と舌。
 「……っ、ん、ぁ…」
その微かな振動ですら、今のゲイナーには強烈な快感の奔流となって全身を駆け巡る。
先程達したばかりなのに、中心がどうしようも無く、熱い。
 「ふ…」
それまで銜え込んでいたものが不意に消失し、空虚を感じて腰が揺れた。それはまるでねだるような、媚態。
TVスクリーンが淡々と放つ、青白い人工的な光に照らされて震える華奢な身体。
滑らかなその肢体に手を掛けながら、ゲインが無意識に舌で自分の唇を湿らせる。
 「…たまらないな」
そんな姿を見せられては、こちらの理性も危うい。
ガチャリとベルトのバックルを外し、窮屈なズボンと下着を寛げて。
 「ゲイナー…」
名を呼べば、後ろ髪から見え隠れする紅い耳許がピクン、と反応した。
 「………んぅ…っ、」
一呼吸おいて、ズッ…、と熱い塊が入ってくる、その衝撃に耐える。
しかしその所為で身体に余分な力が入ってしまい、逆に強い痛みに襲われ、瞳からは涙が零れ落ちた。
 「もう少し、力を抜いて…そう」
痛い程屹立していた前をきゅう、と握られ、意識がそちらに移る。それを見計らって、ゲインが腰を進めていく。
 「…ぁ、…っ、…やぁ…」
 「…っ、く」
ぎち、と内壁に締め付けられ、僅かに顰められる眉。けれど口許はどうしても綻んでしまう。
 「…いい子だ、ゲイナー」
 「…や、なんか……変…こんな…っ、」
受け入れる体勢でこんなに違うなんて。
奥まで貫かれて、凄まじい圧迫感。そして今までに無かった、充足感。
 「…こんな?」
ゲイナーの言葉尻を捕まえて、ゲインが問掛ける。
その間も、出来るだけ負担を掛けないよう、たっぷりと時間を使ってゆるゆると抽挿を繰り返した。
 「…っあ、こんなの……もう、や…」
脳髄までぐちゃぐちゃに掻き回される、強過ぎる刺激。
前を触っていた手は胸許へと移動し、仄かに紅く色ついている乳首を的確に弄んでいく。
それだけでも堪らないのに、内奥にある自分の弱い部分を擦られ、ゲイナーに逃げ場は無い。
背中越しに抱き締めてやると、少しだけ安心したのか強張っていた身体から力が抜けたようだった。
 「いい、の間違いだろう?こんなに…ぐちゃぐちゃにして」
ぐい、と再び奥を強く擦ってやると、泣き声と嬌声の混じった音が組み敷いた少年の口から漏れた。
 「ひぁ…あ…っ、」
ビクンッと喉許を仰け反らせて、一際大きく揺れる細い身体。
見ると下の畳には白い精液がポタポタと漏れ落ちて、其処を汚している。
 「…触ってないのに、後ろだけでイったのかい?」
 「…っぁ、だって…」
羞恥で紅く色づいた耳朶の裏にしっとりとキスを落とす。そして、うなじにも。
 「…悪いが、もう少しだけお付き合い願うぞ、ゲイナー君」
囁いて、ゲインも自分の快感を追い掛ける。
 「…やっ、ぁ……、っ、……」
だらしなく半開きになった口の端からは唾液がとめど無く伝い落ちる。
顔を押し付けた布団はそれを吸ってじわりと徐々に重くなっていった。
引き摺られ、掻き回され、そしてゲイナーは何度目かの絶頂を向かえる。
ドクン、と自分の中で迸る熱いものを体内で感じながら。






翌日。
 「おはよう、ゲイナー君…どうしたの?なんだか疲れた顔してるわよ?」
教室に入ってきたサラが思わず怪訝な顔で尋ねてしまう程、今朝のゲイナーは疲労困憊としていた。
ゲームが趣味の彼の事、きっとまた徹夜でもしたのかもしれない。サラはそう思ったのだが、それにしても反応が遅い。
 「…うん、なんか色々と…」
言葉を濁しつつ、ようやく口を開き掛けた途端、背後からやってきたベローに肩をポン!と叩かれる。
その振動を受け止められずに机に沈み掛けるゲイナー。
 「よ、ゲイナー!」
そんな彼を気にもせず、ベローはこそこそと耳許に小声で話し掛けてくる。
 「どーだったよ、アノ本。かなりヨかっただろ?」
ニヤニヤと笑うベローをぼんやりと眺めつつ、ゲイナーはこっくりと頷いた。
 「…うん。その代わり色んなところが筋肉痛になった…」
昨夜。
普段使わない筋肉を酷使したせいか、身体を動かさないゲイナーの全身は、
本日、動く度ぎしぎしと音を立てているんじゃないかと思うくらいの筋肉痛に見舞われていた。
更に余り眠っていないせいで頭が朦朧としており、変な受け答えになっている事に彼自身気付いていない。
 「はあ〜?」
不審な顔をするベロー。
 「…?」
話の内容が全く見えないサラ。
そんな二人を横目にゲイナーは、ふあぁ…とひとつ、大きな欠伸をしたのだった。

 

 

◆end◆

 

あーあーあー…(沈没)
なんていうかほんと、すみません…。