NEW YEAR'S DAY (1989)


 新年1日から人生を再出発させようとNYに戻ってきた作家Drew (Henry Jaglom:脚本・監督・出演)が 新しい自分の部屋に来てみると、そこで今までの住人Lucy (Maggie Jakobson),Annie (Gwen Welles),Winonr (Melanie Winter)と はち合わせ。彼女たちは明日引っ越すといい、一日だけ共に過ごすことになりました。そしてあれこれ語り合う中で、人生を見つめ直す日となるのでした。ただ できる限り無駄をそぎ落として制作する映画が多い中、自然な感じを出そうとしてか、何でもないシーンやあえて言い淀んだり言葉を繰り返すことが多いので、観ていて正直退屈な感じです。

 LucyはL.A.に引っ越そうと思っています。それはどうやらボーイフレンドのBilly (David Duchovny)から離れたいから、ところが突然Billyがやって来ます。 Davidは初期の出演作の中ではこの作品で、かなり多くのシーンに出ていてセリフも多いです。かっこよくやってきたわりに、ふがいない男の役なんですけどね。
 その後 親がやってきたり知り合いがやってきたり、若い女性3人の所に来るわ来るわ新年の訪問者、それも年配の人が多いのには少し不自然さを感じるのですが、それぞれがあっちで会話こっちで会話、ここに何しに来てるのって雰囲気でもあるのですが、よもやま話で深みを加えようということでしょうか。実は日本語字幕のついていないビデオ(英語字幕つき)を観ているので、主要人物5人以外の会話は詳しくチェックしていませんが、何となくみんなちょっとずれた感覚の持ち主みたいにも思えます。

 DrewはLucyにもBillyにもいろいろと問いかけをし、彼らに彼ら自身の考えを確認させる役割になっています。
 Billyは「あなたから離れてL.A.に行くのよ。」と別れを告げるLucyに、「じゃあ毎日電話するよ。」とか、「でも話さないかも。」と言われると「じゃあ1日に2回かけるよ。」とちょっとしつこいの。そして「もう一度チャンスをくれ。」と言っておきながら・・・。
 BillyとDrewのかなり長い会話シーン。Billyが言うには「もし僕が君のような人と話しててそれが何かいいことだったりしたら、僕はお返しをしたいよ、背中を軽く叩くとかビールを持ってくるとかね。 そして相手が女性だったら僕は、キスをしたりセックスをしたいんだ、それが僕のお返しのしかたさ。」なんてね、あんまり身勝手じゃない。実際この日も次々と、何人もの女性と親しげにする姿が見られます。相手になる方もなるほうだわ。 だってここにいる人はLucyを知っていて、彼がLucyのボーイフレンドだ(った)と知っているのにヒドイ、ちょっとおかしいです。Lucyが愛想を尽かすのも無理はない。Annieとベッドの中にいるBillyを見てしまったLucyは、真っ裸のBillyを外に追い出すのでした。

 結局この作品、Lucyを取り巻く人々のドラマを絡めながら、Lucy自身が人生の中で新しい一歩を踏み出すまでの軌跡を描いた作品だと思います。