ロスト・メモリーズ


 伊藤博文暗殺事件の成否が日朝の歴史を変えたという物語。
 日本と朝鮮がとんでもないことになっています。タイトルが気になって内容を知らずに借りてきた作品、こんな設定の物語が楽しめるのかなぁと思いつつ観ていると、西郷(仲村トオル)が坂本(チャン・ドンゴン)に「おまえが朝鮮人とは一度も思ったことがない。」とは好意的に言ったとしても失礼ですよね。彼らの友情って。。。日本人と朝鮮人に限らず人と人が付き合う時、お互いのアイデンティティーに敬意を持ってこそ心の通った関係が築けると思います。他にも差別的発言があちこちで気になります。一発で十分なところでの無意味な乱射も、悲惨さを見せつけようとしているようで、反日感情をあおる意図で制作されたのではとふと思ってしまうほどです。エンターテイメントとして楽しむには正直無理がありました。

 ところが「月霊」という遺物の謎や坂本の潜在意識に潜む記憶の謎が垣間見られてきて、この辺りからSFの要素も絡めて物語のフィクション性がいっそう高められ、あぁ〜そうだったのかーって楽しめそうにも思えてきて意気込んで観ていたのですが、・・・ん〜どうも中途半端でした。
 朝鮮が無くなったのは時代の変化だと納得し日本の社会で朝鮮系日本人として現実的に生きてきた坂本が、朝鮮人としての良心に目覚め、朝鮮の独立に向けて月霊の恩恵で時間の門を通過することになる過程を西郷との関係を絡めて描いているのでしたが、彼をそう導いた記憶やその真実についてが何となくわかるような気もするけどなんともあやふやな感じでしかなく、UKIUKIとしてはもっと突っ込んで欲しかったような気がします。つまりは、朝鮮独立のために歴史を変えるべく愛を犠牲にしてまで戦った英雄たちの姿を描くことがメインテーマで、UKIUKIが楽しみたいところとはズレがあったということでしょうか。。。

 いつもならComentをパスするところですが、朝鮮人の愛国心が気に入らないのではありませんし、奇抜な発想の物語だけど、銃撃戦を見せつけようとするのではなく、そのぶん俳優の演技を充実させることも含めてドラマとして細かいところまで繊細に制作されたら、かなり見応えのある作品になるのに・・・と思ったのでコレを書いています。でもそれだと制作された方々の作りたかった映画とは別物になるのかもわかりませんが。。。