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インファナル・アフェアV  終極無間 INFERNAL AFFAIRS V  '03 
インファナル・アフェアU  無間序曲 INFERNAL AFFAIRS U  '03 
インファナル・アフェア  無間道 INFERNAL AFFAIRS  '02 



















インファナル・アフェアV 終極無間



 ヤン(トニー・レオン)殉職前後のシーンから始まり、シリーズT,U作に続くラウ(アンディ・ラウ)を描くと共に、これまでと重なる年月で描かれてこなかったヤンと彼に関わる人物や出来事など、また更に深く広い物語になって、3部作全体でより素晴らしいひとつの作品に進化していました。

 1作目オープニングで一緒に音楽を聞くヤンとラウ二人の姿、同じ環境で出会えばきっといい友人になれたような気のする二人だったのですが、なんとその出会いのシーンでラストなんて、切ない感で包まれました。

 ラウがボスのサム(エリック・ツァン)を殺したのは、善人として生きる道を決断したからでしょう。でも・・・ヤンに紙封筒(サムとつながってる証拠)を見られ、サムとの通信記録を握られ、自分のような潜入マフィアがあと3人存在するという状況から、彼の新たな闘いが始まってしまっていたのでした。
 交差する疑惑。。。
第三の男、エリート警官ヨン(レオン・ライ)。ヤンやラウと警察学校同期生だった彼が潜入マフィアなのか・・・。
第四の男、中国マフィアのボス シェン(チェン・ダミオン)。彼の本名は”影(謎)”だと言うように、謎を秘めていることがわかってきます。
 ヨンがヤンを覚えていると言ったことが気になっていました。サムに裏切られたヤンとヨンと”影”の3人が出会ったのは、誰かが死んでもおかしくない緊迫の場面でしたが、・・・すごく好きなシーンになりました。

 ヤンは終始一貫「あいにく俺は警官だ!」と誇りを失わずに生き終えました。それを知る人物が、ウォン警視(アンソニー・ウォン)とルク警視(フー・ジュン)そして信じていたかどうか精神科医のリー(ケリー・チャン)だけではなかったってことに、救われた思いがしました。
 ラウにはヤンへの尊敬や憧れの気持ちがあったと思います。そして自分も善人としての誇りをもって生きたいと本心から願って「俺も警官だ!」と心の中で叫び続けていた彼が、かつて正体を知られたヤンに言った「チャンスをくれ!」という言葉を、終盤の警察内でみんなに囲まれて言う時のなりふりかまわない生の姿が悲しいです。

 UKIUKIが夢中になった作品としてまず思い浮かぶ『THE X-FILES』のいくつかのエピ、『YASHA』、そしてこの『インファナル・アフェア』3部作には共通するところがあると気づきました。善人と悪人の枠を越えてそれぞれが宿命を背負い運命が絡み合う、悪人にも切ない想いが溢れる、・・・そんな物語にUKIUKIは夢中になるんだわ〜。 (Comment2006.2.16)









インファナル・アフェアU 無間序曲



 大口の麻薬取引に絡んで、香港マフィアから警察に潜入しているラウ(アンディ・ラウ)と警察からマフィアに潜入しているヤン(トニー・レオン)からの情報をもとに、彼らの命を懸けた息詰まる駆け引きと緊張感を味わった「インファナル・アフェア」のシリーズ2作目。

 Tの裏側見せます!ってことで、1991年香港マフィアの大ボス クワンの暗殺から1997年香港返還の頃までにさかのぼり、ラウとヤンの潜入の経緯が詳しく描かれています。その頃のマフィア内部の動きや警察との関わりの中で、ラウ(若き日:エディソン・チャン)を潜入させたサム(エリック・ツァン)とヤン(若き日:ショーン・ユー)を潜入させたウォン警部(アンソニー・ウォン)についても意外な関係が交錯し、さらにサムの女メリー(サミー・チェン)やクワンの跡を継いだハウ(フランシス・ン)の存在も重要でした。
 かなり見応えのあったTですがそれはほんの表面を見ていただけのような気がしてきました。特にラウとヤンの心に詰まっているいろんな人への感情を知らずに観ていたのですから。TがあってのUですが、UがあってのTだったのです。こういうタイプの2作目って観たことないし、内容は何倍もあって物語全体が凄く深まり、すっかりハマってしまう自分が不思議なくらい夢中になりました。

 警察とマフィアは正義と悪、白と黒といった相対する社会のように見えて実は意外な接点があったり人物が複雑に絡み合ったりしていて、ラウとヤンの身の上や周囲の人物も含めてそれぞれの歴史が丁寧に描かれていきます。若い二人の幼さの残る笑顔や純粋な涙を見て、彼らの運命を想うともう堪らなく切なくて胸が痛みます。そして勢力の移り変わりに伴う駆け引き・結束・裏切り・・・などというよりはむしろ、とにかく善人悪人の枠を超えていろんな意味での''情''が渦巻いていて、本心の情が滲み出るシーンやまた情に苦しみ情を押さえて行動するシーンなど、心にズキズキ響いてくるって感じで大満足!です。

 ヤンは''善人でありたい''という思いを持ち続けていて、何度となく「自分は警官だ。」と言い切るのだけど、実は潜入先のハウと異母兄弟の彼は、兄に対して微かな身内の情が生まれてきます。
 4年間つき合った女が、あなたのようにはしたくないと子供を堕ろしたと知らされた時の彼の荒れようが、なんとも苦しげで悲しげで堪らなく切ないです。自分の善の部分を隠してつき合ってきた女、でも彼の彼女への気持ちは本当のものだったのでしょう。だから子供に対しても、かけがえのない大切なものだったはず。彼女はTで再会している女性だと思うのですが、実は子供を産んでいたことにまた彼女の想いも想像しては、胸がシクシク痛みます。
 バスの中で、兄を逮捕できるかと問うルク警視に見せる彼の迷いのない態度は、印象的です。また後に、ルク警視の墓の前でウォン警部と会うシーンも彼の信念が感じられて気に入ってます。その時までの2年間をかけて彼がしてきたことは、ハウを逮捕できる証拠であると同時に彼が警察官であることの証。でもそれが生かされない展開になるなんて・・・。
 目の前で他の潜入捜査官がハウに殺されるのを目の当たりにしたときの彼の心境はどうだったでしょう。動揺を見せないようにと必死で平静を装いほとんど反応のない態度で立っているのですが、その目には爆発しそうな心の内が映っているように見えたし、彼の心臓がドクンドクンと鳴っているのが聞こえたような気がします。でもその直後、何者かに暗殺されそうになった兄をとっさにかばうのです。
 また、終盤ハウが撃たれたときのシーンもすごく印象的でした。彼がハウを抱きかかえる腕やウォン警部に向ける視線に表れる感情が痛いです。ハウが最後の瞬間に何を思ったか。知ってしまったことと、その瞬間それを隠した彼の思い・・・。ハウは反抗しそうな者を抑える力があるし裏切り者を殺すことに迷いもなかったけど、本来真っ黒な人間ではなかったような気がします。彼が父の後を継ぐことになったのもまた宿命で、それを受け入れて懸命にやり遂げようとしているように見えてました。そして最後の瞬間、自分の片腕にと引き寄せて信頼を築きあげてきた義弟が実は彼の宿命に懸命に逆らおうとしていたのを知って、ハウは驚いたに違いありませんが自分とは異質のまっとうな世界に触れているヤンを守ってやりたいというとっさの思いが感じられて泣けました〜。そこに怒りの感情は何も感じられなかったことに、ものすごく救われました。
 ところで、ウォン警部とヤンの身の上とのかかわりがこのようなものであったとは、Tでは全く想像できなかったです。ヤンがこの複雑な感情を乗り越えられるのは、やはり''自分は警官であり、それは善人でありたいから''という強い思いからなのでしょう。

 一方ラウは、ずっとボスの女マリーへの想いが彼を支配していました。サムのためなら何だってするというマリーのために人を殺し、サムの言うとおりに警察に潜入し、自分がマリーを危険から守る!と心に決めていたし、サムが殺されたならマリーと一緒になりたいと思ったけれど・・・。
 優秀な警察官としての地位を築きつつ、マリーを失ったと感じた日、彼の中の黒い部分が顔を出します。でも彼ってどこまで''悪''なのか、彼本来の人格がいまひとつわかりにくいその微妙さかげんが魅力です。そして彼自身、このときまだ自分の生き方を自分の意志で歩み始めていなかったのではないかな。ということでTからVにかけて、彼の葛藤や決断に注目です。

 とにかく具体的なことは書き始めたらキリがなくなるほどなので省略しますが、もうひとつ、肝心なところで流れるBGM がとっても美しいです。描いている世界とは不釣り合いな感じがしますが、そこに込められた感情にはピッタリな感じで素敵です。
 ラウやヤンの過去を知って、Tのリピート必須になりました。そして新しい登場人物を迎えての最終章Vもますます期待大です。(Comment2005.7.10更新)









インファナル・アフェア 無間道



 香港映画ってあんまり観たことないので、耳に入ってくる言葉がもちろん全くわからないのですが新鮮な響きで、それでいて違和感なく、ずっと緊張感で張りつめた内容に集中して楽しむことができました。かなり面白かったです。
 潜入捜査というのがそもそもUKIUKIにはツボですが、これは警察と犯罪組織からお互いに潜入している二人の男がいて、潜入から10年の時を経て、彼ら二人がそれぞれの潜入先で順調に地位を築き情報を流せるまでになっています。おぉ〜!お楽しみ感2倍!!ドキドキ感2倍!!の見応えある男のドラマでした。ある時大きな麻薬取引の情報が警察に伝えられるも、警察の動きがもれて、お互いにスパイの存在に気づくことになります。

 どこから見てもマフィアで長年ボスの駒としてそれなりに働きつつフラフラとしてるヤツって感じで、ボスに目をかけられているし、弟分からは慕われているけど、常に身の危険にさらされて精神的にも限界ギリギリで、それでも命を懸けて情報を伝えるヤン(トニー・レオン)がいいんですよー。何度も傷害事件を起こして警察に捕まるので強制的に心理補導も受けさせられているほどで、すっかりマフィアの一員のように生きているヤンですが、本心では警察官としての正義感や誇りを失わずに内に秘めていて、一日も早く警察官に戻りたいと思っています。
 一方、香港マフィアに入ってすぐ警察学校に送り込まれたラウ(アンディ・ラウ)は、優秀な警察官として内部調査課(CIB)課長にまで昇進しています。今の仕事や生活にやりがいや満足感も感じているのではと思えるような、ふと自分の正体に苦悩をにじませているように見えてしまうときがあります。彼もまた、複雑な思いを内に秘めているのでしょう。
 ヤンの情報から麻薬取引の現行犯として大物マフィアの検挙をめざす警察側と、ラウの情報から警察の裏をかき麻薬の大口取引を成功させようとするマフィア側の行き詰まる駆け引きには、最高の緊張感で盛り上がましたがそれで終わりではありませんでした。ヤンを潜入させヤンの本当の身分を知っていてお互いの信頼感もできているように思われるウォン警視(アンソニー・ウォン)がヤンを逃がそうと殺されて、ヤンが自分本来の世界に戻れなくなるかもっていう状況に陥る展開で、後半また一気に緊張感が高まるという、最後までドキドキ感満載で楽しめました。
 ヤンの突然の結末は残念でたまりませんでした。もっともっと彼を見ていたかったのに。。。
 ラウの決断と行動は、彼の悪だったのでしょうか善だったのでしょうか。。。 ラウがボスのサムを殺したのは、善人として生きたくなったからでしょう。でも、・・・ヤンにサムのスパイという証拠(紙封筒)を見られ、サムとの通信記録を握られ、そのことから警察内に他のスパイも存在するということが明らかになる状況から、彼の新たな闘いが始まってしまったのだと気づきました。

 満足!見応えありました。実は観賞後「インファナル〜U」の存在を知って納得! どうやら「インファナル〜T」の裏側を描いているらしいです。さっそく近いうちに観たいな。さらに「インファナル〜V」でその後を描いて、三部作になっているようです。期待したいです。(Comment2005.4.14)