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ラスムス君の幸せをさがして


 孤児院を飛び出したラスムス君(エリック・リンドグレーン)と風来坊オスカル(アラン・エドワール)は、ラスムス君をもらってくれる人を見つけるまでの旅をするのでした。

 幼くて弱々しい男の子と旅をしているおじさんとの温かくて物悲しい物語だとイメージしていたので、二人のしたたかさにちょっとびっくりしましたし、強盗事件に巻き込まれそうになったりラスムス君が孤児院に連れ戻されそうになったりで逃げ回るという、ちょっぴりドキドキの展開もあるのですが、観ていくうちにだんだん優しさに包まれて何とも言えない温かさに心地良くなってきました。お腹がすいて親がいなくて誰も迎えに来てくれないラスムス君の心の内はもちろん辛くていっぱいいっぱいなのでしょうが、涙を誘うのを狙わないカラッとした描き方がとっても気持ちよかったです。飛び出した孤児院の人たちと時々出会ってしまうのですから、旅の範囲はけっこう狭そうです。ラスムス君といたずら仲間グンナル(パル・スティーン)の友情もいいなー。自分で幸せをつかもうと旅に出たラスムス君に、とうとう幸せになるチャンスがやってきました。でもその頃にはもう、ラスムス君はオスカルのことが大好きになってしまっていたんです。目の前の損得や世間の価値観にとらわれない正直な気持ちで生きようとするラスムス君とオスカルの世界は自由で明るくって''本当に悪いこと''には無縁でいいな〜っと思っていたものの、オスカルとの放浪生活にはラスムス君にとって将来が見えてこないという不安が拭えなかったのですが、ラストにオスカルの秘密が明かされて幸せな気分にすっぽり包まれるのでした。オスカルの放浪生活の仲間や旅の途中で出会う人々の中でも、その秘密を知っていそうな人がいたような気がしてきました。実は途中で、オスカルの正体はもしかしたら大金持ちじゃないかしらとちらっと想像したりもしていたのですが、そうではなくって本当に良かったと思いました。

 いろんな出来事があったけれど、温かい雰囲気が人々の間に漂っているんです。だからオスカルは放浪の旅がやめられないのでしょうね。UKIUKIの夫がオスカルみたいだったら、こんなこと言ってられないけど・・・って心がちっちゃいんだー(笑)
 観た後になって思うのに、ほんわかと楽しい作品だな〜、またたまに見たくなるな〜って感じでした。