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たそがれ清兵衛


 幕末から明治維新へと時代の波が大きく流れる中、地方の末端武士らのくらしや生き方は以外にも日常的な感じで、庄内海坂藩の御蔵役井口清兵衛(真田広之)は、貧しくも慎ましく生きていた。妻を労咳で亡くしてからも同僚との付き合いはいっさい断り、年老いた母の世話や家事・内職に明け暮れながらも、二人の幼い娘の成長を楽しみにしていた。あの時代にも、窮屈な辛いくらしの中で、ほんの少しの自分らしさ自分なりの幸せを持とうとした人がいたんだ、親友がいて、幼馴染み朋江(宮沢りえ)への恋心も気になるし・・・と、何かホッとするようないい感じで清兵衛のくらしを観ていました。

 ところが実は剣の使い手であることで、清兵衛は命を賭けなければならない藩命を言い渡されます。彼が朋江になぜ行くのかと尋ねられて、「自分も武士の端くれだ。」と答えたのが印象的で、私はその時ちょっとドキッとして心が痛みました。人より秀でたものを持っているという清兵衛の隠れた一面にカッコ良さを感じていたのに、それ故のこの展開は悲しかったです。

 本当に久しぶりに時代劇を観て、人々の立ち居振る舞いや殺陣のシーンがその時代を感じさせるけど、なぜか古い感じがちっともしない作品でした。