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マジェスティック


 1951年、小さな町ローソンの海岸に打ち上げられた男(ジム・キャリー)は、記憶をなくしていた。彼が自分の息子ルークだと気づく老人ハリー・トリンブル(マーティン・ランドー)。ルークは町中の人に大歓迎され、幼なじみや婚約者アデル(ローリー・ホールデン)とも再会する。父ハリーは、ルークや昔のスタッフと映画館『THE MAJESTIC』を復活させようとする。
 ルークは自分が誰なのかわからないまま、町の人々の暖かさに触れ、みんなが自分の存在に希望を感じ期待を寄せているのがわかるにつれて、しだいにローソンでの生活や『THE MAJESTIC』の復活に前向きになって、アデルとの愛を確かめていくが・・・。

 時は赤狩りの時代、人々の心に残る戦争の傷跡、記憶をなくした男の戸惑い、愛、自由と正義、人生の選択・・・、いろんな要素がつまった作品でした。
 男の素性や直面している問題が分かっているので、ふとストーリの先が次々と読めてしまうのですが、意外性よりは主人公だけでなく周りの人々一人一人の想いを感じることで満足感に浸ることができました。
 とにかくタオルがぐっしょりになりました。
 多くの若者を国のために亡くした痛みをじっとこらえていた町の''希望の光''となってしまったルークの困惑はもちろん、戦地で行方不明だった息子が帰ってきて心から安堵しているハリーを見るにつけ、過去の記憶がない婚約者を迎えたアデルや友人たち、一人彼を受け入れられないボブ、そしてなにより息子や夫を戦争で亡くした人たちが自分のことのように喜ぶ姿を見るにつけ、それぞれの想いを想像すると次から次へと涙があふれてきました。
 聴聞会のシーンはお決まりの盛り上げ方で、ラストもじつにアメリカ的でしたが、心の中いっぱいに自分の生き方を考えたり人の想いを受け止めようとするのって、やっぱりいいですね。

 私としては、笑顔のジム・キャリーが苦手なので、笑顔でないシーンがいっぱいで良かったです。感情を強くぶつけるシーンがあっと思うほど良かったし、とっても複雑な役で微妙な表情を落ち着いて味わうことができました。
 また、この作品にはXFでおなじみのマーティン・ランドーやローリー・ホールデンや、名前は確認していませんがこの顔もあの顔もと何人もの俳優さんが登場していて嬉しかったです。たった一つのエピソードでも印象深かった俳優さんを映画で見かけることが時々あるのですが、そんなときって嬉しいし、まったく違う雰囲気だったりすると見入ってしまいます。なにしろXFではマーティン・ランドーのような例外はあるものの、基本的には''誰でも知ってるような有名な俳優は使わない''のでしたから・・・。