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ショーシャンクの空に


 妻と愛人を殺したとして、無実でありながら終身刑を言い渡されたアンディー(ティム・ロビンス)の、27年間もの刑務所生活を描いた物語です。それは、アンディーと徐々に信頼感や友情の深い絆で結ばれていくレッド(モーガン・フリーマン)の言葉で語られていきます。

 私がすごく感動したのは、囚人同士や看守たちによるひどい暴力や制裁にさらされながらも、自分らしさを失わずに、どん底の環境の中で、自分のもてる才能や誠意を尽くして生き抜いていく彼の姿でした。他とは違う彼らしさや内に持つ強さのようなものを、まっ先に認めたのがレッドだと思います。

 レッドやその仲間を''同僚''と呼び、屋上作業での看守との取引で、ビールをみんなに飲ませるときのアンディーの姿が印象的です。その時をきっかけに、彼は仲間に認められ、また所長や看守にも認められていきます。
 また、所長や看守に逆らってまでも『フィガロの結婚』を所内に響かせ、囚人たちの心を和ませたときも、彼の意思の強さを感じて印象的でした。
 図書館を充実させたり、トミーに勉強を教えたりと、彼本来の誠実な活動に取り組む一方で、彼自身が「外では真っ正直だったが、ここで悪に目覚めた。」と言っているように、看守の税金対策や所長の裏金作りを助けて力を蓄えていきます。

 ある時トミーの証言で突然訪れた再審のチャンスが、所長に握りつぶされてしまいます。
 そこで彼は、誰にも気づかれずに準備をしていた計画を実行に移そうと決意したようです。それはあまりにみごとでした。根気強く準備された緻密な計画によるもので、困難を伴う決行ではありましたが、あのアンディーならと、納得させられるところがすごいと思います。現実味のない成功劇になることなく、しっかりとしたヒューマンドラマに仕上がっていて、とくにアンディーとレッドの友情だけを捉えても、充分感動させられます。

   ラストは、レッドがバクストンの大木の下で黒曜石を探すころからワクワクし、生涯二度目の法を犯すあたりからすがすがしい気分が広がって、メキシコのシウアタネホ海岸では満足感でいっぱいになりました。