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ムーラン・ルージュ


 1900年パリのナイト・クラブ『ムーラン・ルージュ』、高級娼婦サティーンと貧乏作家クリスチャンが恋に落ちる。
 ミュージカルだし単純なラブ・ストーリーで、コメディー的でもありファンタジックでもある、けっこうイイと感じる自分に不思議がっているうちに、ぐんぐん引き込まれいきました。悲しいラストではあるものの、二人の愛はしっかり結ばれたのだし、思い残すことなく最高の気分で観終えることができました。だって、二人に明るい将来を描くのはとてもむずかしいですもの。
 美術や衣装はもちろんすばらしかったけど、力も金も名声も求めない、真実の愛に目覚めた二人を演じたニコール・キッドマンとユアン・マクレガーにすっかり見とれてしまったのでした。クリスチャンのキャスティングに不満を感じる意見を雑誌か何かで読んだような気がするけど、私はすごくハマっていたと思いました。
 完璧なまでに美しいサティーンのニコールと、私のツボでもあるふつうっぽさの漂うユアンが、アンバランスそうでありながらぴったりかみ合っていて、それは歌やダンスのシーンで二人が見事に融合していたからだと思いました。その表情には愛することに前向きで、一途に愛する強い気持ちが込められていました。たまにミュージカルを観ると、歌っているシーンを観ては決まって引いてしまう私でしたが、この作品ではセリフを聞くのと同じ感覚で観ることができました。さすが俳優さんだと思いました。歌はとっても上手だったけど、プロ歌手の慣れてて堂々と格好つけて歌う感じとまた違って、気持ちで歌ってるという感じでよかったです。
 また、二人の恋の障害になる人達がそれほど憎たらしく描かれてなくて、なんとなく味のあるキャラだったところもよかったです。