−ご支援を頂いた方々のメッセージ−


(五十音順で、敬称は省略させて頂いております。)



社会福祉法人「檜の里」:「あさけ学園」理事長  石丸 晃子



 障害のある人の存在は、社会の連帯や私たちの生き方を厳しく問いかけます。

 その問いかけの中で、多くの自閉症の人たちは、理解され難い行動やコミュニケーションの取り難さなどから、社会のあらゆる場面や福祉の現場からさえ落ちこぼれているのが現状です。
 それは決して彼等が『特別な人』とか『自閉症』だからではなく、従来の障害に対する私たちの側の規格や物差しや付き合い方が役に立たなかっただけでした。

 「あさけ学園」は設立からおよそ20周年となりますが、彼等も私たちと同じように苦しみも喜びも味わいながら、地域の中で当たり前に生きたいと願っていることを知り、それに応えていくのが私たちの責任であること、地域生活を支えるしっかりとした援助システムがあればその願いも実現可能である事を痛感しています。

 私は障害のある人からの問いかけに目をそらさず、その問いかけをエネルギーとして、社会福祉法人「おおすぎ」の設立が志されていることを心から応援し、新しく生まれる施設が、地域の中で障害者援助の一つの拠点としても大きな役割を果たされる事を期待しています。

 障害のある人もない人も共に生き生きと暮らす21世紀を目指し、皆様のご協力をお願い致します。




元 三重県立あすなろ学園園長  清水 将之



 私が精神科医になった三十数年前と比べますと、発達障害に対する理解も療育のあり方も随分進歩しました。

 学校教育の場においても重度の子どもたちが教育を保証され、療育も提供されてきております。だけど、高等教育を修了してから先の年齢層の発達障害児・者への手当てについて、わが国はまだまだ十分な準備ができておりません。

 国が富んでいるにもかかわらず、ハンディキャップを持ちつつ生きている人を支えるシステムと場所の乏しい時代というのは、こころ貧しい時代と言わざるを得ないのでないでしょうか。

 このたび南勢の地に自閉症者が地域の人たちとともに生きる施設として「れんげの里」が設立されることになったのを、私はこころ豊かな時代の証、平和な時代の証として大変嬉しく思っております。こころの豊かさを求め平和を求める多くの方々からのご支援ご協力を期待しております。




作家  柳田 邦男


 ひとりだけではおしつぶされてしまうことがある。家族だけではおしつぶされてしまうことがある。でも、手助けできる人々が少しずつ担いあうと、重い荷車も動きだす。

 昔はすぐれた才能と強い体力の人間だけで構成された社会が理想国家とされた。しかし、これからは違う。すべての人間が天から与えられた能力と姿のままで、一緒に陽のあたる場所で支えあって暮らしていく社会こそが、ほんとうの豊かな国だと考えられるようになってきた。だからボランティアとかフィランソロピーという言葉が時代のキーワードになってきた。

 おとなになった自閉症者が自立と社会参加への道をひらけるような施設を、親たちが中心になって市民運動によってつくろうという計画が三重県で進められているという。障害をもつ人々を支え、共に生きる社会をつくる新しい歩みの一つだと思う。こういう具体的な取り組みを一つ一つ積み重ねていくことが、この国を真にこころ豊かな国として成熟させるのだ。
 はるか東京からも声援を送りたい。




林業家  吉田善三郎



 民主主義が成熟し経済的に豊かになった我国に於いては、障害の無い人も持つ人も、各々の立場で自己実現を図り、充実した人生を送る事が出来る。…そんな社会の到来が望まれる。

 三重県では「わかば学園」「つばさ学園」等障害児の為の近代的設備の整った立派な施設が建てられ、また近い内に県北にも建設予定と聞く。これらは福祉の充実の面で大いに評価されよう。

 しかし自閉症の人達は、各々の発育状況に応じ木目細かい対応が必要で、充実したスタッフを持った独自の施設の建設が待たれる。こうした中、「自閉症者を持つ親達の集い」の方々の熱心なご努力が行政を動かし、此の度南勢の地に、成人した自閉症の人達の利用を中心とした施設「れんげの里」が造成される事になった。

 大台ヶ原の山裾の豊かな自然に恵まれたこの地で、充実し開かれた施設とし、穏やかで素朴な地元住民と交流する中で、自閉症の人達の能力、可能性を極力引き出して行く。そうした関係各位の夢が、大勢の人達の支援によって実現される事を切に願うものである。