11名の作家による「軍師」にスポットを当てた短編歴史小説集。
戦略や経営・組織の動かし方・はたまた地理や気象にも秀でていて、我が主将に命を託し、
時には主将以上の働きをした軍師達。
それら軍師が、それぞれの作家により、ミステリアスに、又、人間臭く書かれている。
池波正太郎氏 「雲州英雄記」 (山中鹿野介)
安西篤子氏 「鴛鴦ならび行く」 (太原雪斎)
山本周五郎氏 「城を守る者」 (千坂対馬)
新田次郎氏 「まぼろしの軍師」 (山本勘助)
柴田錬三郎氏 「竹中半兵衛」 (竹中半兵衛)
南条範夫氏 「天守閣の久秀」 (松永久秀)
坂口安吾氏 「黒田如水」 (黒田如水)
山田風太郎氏 「くノ一紅騎兵」 (直江兼続)
司馬遼太郎氏 「二人の軍師」 (真田幸村・後藤又兵衛)
滝口康彦氏 「権謀の裏」 (鍋島直茂)
松本清張氏 「戦国権謀」 (本田正純)
誤解を恐れず、一生信念を貫いた「対馬」。
もしかしたら世に知られることもなく、無名のままだったかもしれない「勘助」。
これも軍師の死にざま?と思うような人間臭さのある「久秀」。
史実に基づきながらもあり得ないような話の「兼続」。
有能な軍師ながら、良き将に恵まれず最後は悲運な死にざまとなった「幸村」と「又兵衛」。
などなど。
どの話も、戦乱の世を生きた軍師たちの生きざまと、背景の時代が生き生きと書かれていて読み応えあり、
大河ドラマの一話のような面白さだった。