本の紹介

 

2015.4
『国家の品格』
藤原 正彦 著
初版 2005年
出版社 新潮新庫

この本、知人からお借りして読んだ。

作者は、「日本はかって情緒と形(武士道精神からくる形)を重んじる国だったが、 戦後の高度成長と共にそれらを失ってしまった」と、嘆いていられる
作者のいう情緒とは、懐かしさとか、もののあわれといった教養によって培われたもの。
そして、国の品格には真のエリートが必要だと。
真のエリートとは、
第一条件に、哲学・歴史・芸術・科学などあらゆる教養を背景として圧倒的大局観や総合判断力を持っていること。
第二条件に、いざとなれば国家・国民のために命を捨てる気概があること。
なお、国の品格の重要な理由は
☆ 普遍的価値観。それに対し、世界は尊敬の念を持っている。国に対する尊敬は一世紀間ぐらい経済が斜陽でも揺るがない。
☆ 文化と学問の創造。
☆ 国際人を育てる。
☆ 人間のスケールを大きくする。
☆ 戦争をなくす手段になる。
と、挙げていられる。

「一世紀ぐらい経済が斜陽でも揺るがない」「戦争をなくす手段になる」など、国が問われる品格の、なんと凄くて重いことか。
そのためにも、お金・名誉・知名度・そんなものすべて関係ない真のエリートが現わることを望んでいる。
かって昔の日本には戦争時代を除いて、少なからず今よりも情緒や形を重んじ、教養に裏打ちされた品格があったような気がする。
名もなき武士の中にも教養高く、恥を知り、凛とした人がいたような気がする。  

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