本の紹介

 

2015.2
『神去りなあなあ日常』
三浦 しおん 著
初版 2012年
出版社 徳間文庫

ひょんなことから、林業の研修に、三重県の山奥深い集落に来た若い男性の一年間の出来ごと。
題名の”なあなあ”とは、その集落の人達が物事を決める時、又は、まあ落ち着け、ゆっくりしょうという時に 使われる言葉であり、そこでは何事も”なあなあ”で円満に解決されていく。
林業の厳しさ、木々に対する優しさ、昔からの信仰、真摯に山々と向き合って暮らしているユーモラスな神去り村の住民達。
浮世ばなれをしたようなこの集落に、カルチャショックを受けながらも、次第に惹かれていく彼。
現代では迷信としか思われないようなことも、この霧深い山の奥では現実に起きていそう気にさせられる。
ストーリーらしいストーリーはないが、四季折々の山の姿がなんとも美しく、作者はきっと山が好きなのだろうなぁと思った。
この「神去りなあなあ日常」の後編ともいえる「神去りなあなあ夜話」の方では
主人公が村人から受ける哀愁のようなものの原因を知ることが出来る。
物語としては「神去りなあなあ夜話」の方が私は好きだ。
 

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