今から40年近く前、毎日新聞に連載された数学博士岡潔氏の随筆集・対話集をまとめた本。 数学博士と題名「春宵十話」とのギャップに惹かれ、実家の亡き父の書架からこの一冊を手に取った。 数学について、自分が数学を志した経緯や発見の喜び、戦後宗教に入った動機と数学との関わり等を語っていられる。 また、教育の在り方については”人として一番大事なことは情緒と謙虚さを知ること” 情操教育こそが義務教育の務めだと説いていられる。そして時代が進むにつれそれらが薄れていくことを憂いていられる。 これからの教育に思いを馳せていられた博士。40年近く経った今をどう見ていられるだろうか? 数学・哲学・芸術・教育と多方面に少々辛口の皮肉も交えて綴られていた一冊だった。