くらしのなかで
―― 建築家の視点から ――

vol.50



今の日本に足りないもの

今年末の日本は例年にも増して、不祥事やら事件やらで
独特の閉塞感で包まれているようにも思います。

さて一年前、私はペルーという国を一人旅していました。
あれからもう1年経ったのか・・・と月日の流れを
実感しながら、最近妙にペルーの公園にいた
『靴磨きの少年達』の姿を思い出しています。

ペルーという国は、貧しくて犯罪も多かったので
一時期、治安が悪いことで有名でした。
最近はずいぶん回復しましたが、
今でも郊外にスラムが存在します。

私が一年前にペルーで遭遇した『靴磨きの少年達』
スラムに住みながら、中央の広場にやって来て
ベンチで休む人たちの靴を磨きながら、
そのわずかのお金で生計を立てているようです。


さて、日本では景気の上向きが発表されながら
どうもそれが実感できない昨今です。
閉塞が日常化している社会状態のなかで
私には、今の日本に『元気』が感じられません・・・
そして相対するように最近、、
ペルーの『靴磨きの少年達』の元気に
走り回っていた姿を思い出すのです。

決して『靴磨きの少年』が羨ましいというわけでは
ないのですが、その少年達の『元気』や、その向うに見えた
『おおらかさ』などは確実に『今の日本に足りないもの』
として受け取れたのでした。
きっとそれは、(某CMでも流れている)
『お金では得られない価値』なのでしょう。

この年末、私は今の日本に足りないものについて
ペルーの『靴磨きの少年』越しに考えたりしています。
キーワードは『元気』そして『おおらかさ』です。
これを、これからの自分なりの発信で
少しずつカタチにして提案していきたいと考えています。

写真は朝日新聞2004年12月5日の一面です。
とうとう新聞にも景気の停滞表現が出て来ました
やはり、閉塞が日常になっています。

2004.12