くらしのなかで
―― 建築家の視点から ――

vol.47


仏壇のこと

日本人の信仰心は希薄だと言われることがありますが、
この現代日本では(特に若い人が)信仰に専念することは
なかなか難しいのが現状だと考えています。

さてそんな中、最近小さな仏壇が売れているようです。
特にマンション世帯や若い核家族世帯で人気の様子です。
このことは私はとても良いことだと思っています。

私が時々、人から聞かれることに
神棚や仏壇はどこに据えると良いでしょうか???
ということがあります。これに対し私は
『家族の生活の中心にあるといいですね』 と答えています。

家族の生活の中心にあるということは
いわば毎日そこに目が届くということ。
お供えも日常生活の一部分としてやる。
そこで拝むことが日常生活として出来ればなお良し。
とにかく生活の一部であるために、仏壇の位置は
『家族の生活の中心』 が一番いい。

きっと、冒頭で書いた信仰心というのは
その延長にあることだと考えます。
そして、信仰先や宗派はその後についてくることでしょう。

人それぞれ宗教の信仰にはタイミングがあります。
この小さな仏壇のブームも、仏教の信仰へのタイミングだと
考えられるので、とてもいいことだなあと思うのです。


少し余談ですが、海外旅行をしているとしばしば
あなたの信じる宗教は何???と聞かれます。
この時は、日本のノリで安易に『別に何もない(ナッシング)』と
答えない方がいいです。
その答え方はキチガイだと思われるので注意です。
そこそこ仏教徒なら英語でBuddestと答えておくのが無難です。
宗教が違っても決して批判されませんのでご安心を。
これは『世界的には信仰が日常的だ』という一面でもあります。

現代的な洋室の一角に据えられた小さな仏壇です。
仏壇は決して『和室ありき』では」ないのです。

2004.09