くらしのなかで
―― 建築家の視点から ――

vol.40




『おいしく食べられる』という喜び

今回のペルーの旅では前半の数日間、
高山病に苦しみました。
歩き回ることは無理矢理できたのですが、
どうにもならなかったのは食欲がなかったこと
そして酒も飲めなかった(飲んだら高山病が悪化する)こと
これは、本当にもったいないことでした。

旅の最大の楽しみは食べものです。
その国の食べ物がおいしく食べられたら
旅はとても楽しくなります。

今回は思うように食べられなかったことで
一時期、旅が弱気になりました・・・
しかし、高山病というものは
低地に降りるとウソのように治ります。
そしてウソのように復活したのが食欲です
食欲が復活した旅の後半は、
すっかり充実した旅になったのでした。

ふり返ってみると、これは貴重な経験でした。
ちょっと大げさになりますが、
旅の前半、食べたくても食べられない辛さを経験をして
旅の後半、食べられる事への喜びを経験しました。

そして、つくづく思いました。

おいしく食べられることは基本だ・・・

非常にシンプルなことですが
これは日常生活でとても重要なことだと思います。
決して高価な食事をするということではないんです。

現在の日本、食生活でほとんど不自由のない世の中。
それゆえに、ついつい『ないがしろ』にしている
『おいしく食べられる』という喜び
この気持ちを忘れないようにしたいものです。

写真は高山病が治った頃、市場の食堂で食べた
ジャガイモと牛スジ肉のスープ(約70円)
日本の味噌汁にあたるものです。
これが美味しくて、この後これにハマったのでした。


2004.01