くらしのなかで
―― 建築家の視点から ――

vol.39



道は誰のためのもの

現在、私の大問題は運動不足・・・
最近、めっきり歩かなくなりました
どこに行くのにもクルマに乗って移動してしまいます・・・
これは私に限らず、多くの(地方の人に)当てはまる現象です

さて、ちょっと気にして地方の道を見てみると
道に歩行者が異常に少ないことが気になってきます
例えば多くの皆さん、買い物に行くにしても、
クルマで移動してしまいます。
やはり、クルマが便利だからそうなったのでしょう・・・

このクルマの便利さに呑みこまれた結果
クルマありきの社会になり、
そして現在の道はクルマ主体の道になってしまいました。
特に田舎の道は歩道の整備も遅れ気味で
安心して歩けない道が多いのが現状です

しかし、そもそも道とは何か?? 辞書によると
『地面のうち、人や動物が往来を繰り返すうちに
踏み固められたある幅を持つ長いつながり』
と、あります
やはり、道は人や動物の為のものなんです・・・

しかし先日、道で車にはねられて死んだタヌキがいました。
(田舎ですなあ・・・)
ああ、現在の道は動物の為の道ではない。と実感しました。
そして、クルマ主体の道は人間をも拒絶しています。

クルマは人間の生活を豊かにした重要な道具です
私にとってもクルマは重要な仕事道具です。
しかし『だから道はクルマ主体のもの』
済ませて良いのか・・・ 否・・・
やはり
『道は人の為のもの』でないといけないはずです

さて、道のことを考えると落胆することが多いのですが
最近(健康のために)散歩する人が増えているのは
明るい話題です。
少しずつではありますが道に歩行者の気配が
見えてきているのは光明だと思っています。

クルマにはねられて死亡したタヌキです。
発見した時には歩道脇まで移されていました。
動物の住みにくい世の中になったものです

 

2003.12