くらしのなかで
―― 建築家の視点から ――

vol.37


2階に浴室はいかがですか


前回、バルコニーについてのコラムで
『日本ではバルコニーが『物干し場』として
有効に利用されている』
ということを書きました。
そうなってくると考えられるのは

物干し場が2階なら、それに連続する
水まわり(すなわち洗濯場、脱衣室、浴室)も
2階にもってくればいいのでは・・・
ということ。
これで洗濯にまつわる家事の流れが効率良くなります

この『水まわり2階案』の有効性については他にも


 * 浴室が2階にあるということは
   来客時でも他の家族が気兼ねなく入浴出来て、 
   入浴後も下着やパジャマで寝室に移動出来ること。

 * 洗面所が2階にあることで、就寝前のシャワー、
   朝の洗面、朝シャン等の利便性の向上。

 * 水道の蛇口が自然に2階にあるということで
   子供が絵の具遊びや、夜中に水を飲む時に便利


このように具体的なメリットがイロイロあげられます
私も時々この『水まわり2階案』を提案しています。
しかし、実はあまり実現しません。

今のところすごくいいんだけど、
年をとってから2階まであがるのはイヤだ


というのがその理由。どこの家族も一致している理由です。
本人達が『2階水まわり案』に納得していても
その両親からの強い反対の意見が出て結局、
『水まわり』は1階に降りていくこともあります。

(大都市では少し事情もかわってくるのですが)
確かに三重県の小都市程度の土地環境では
わざわざ水まわりを2階にしなくても
十分に快適な間取りが実現できることもあるのですが、
『2階水まわり案』の魅力は捨て難く存在するのです
ですからあらためて
最近、私が言い始めていることを紹介します。

例えば35歳で家を建てたとします。
実際に2階に上がるのが億劫になるのは30年後か40年後、
その時、新築時の水まわり設備はそろそろ引退の時期、
その時に初めて1階部分にに改築しながら水まわりを
つければいいのではと考えることもできます。


ですから、当面20年ぐらいの自分たちのライフスタイルを
考えながら積極的に『水まわり2階案』を導入するのも
良いと思いますがいかがなものでしょうか???

この家は将来の2世帯を想定しながら、1階の水まわり以外に
サブの水まわりとして浴室までを2階に設置することが出来ました
(左側に少し小さめのユニットバスが続いています。)
トイレまで含めて、全部で2坪強のスペースにまとめた一例です。

 

2003.10