くらしのなかで
―― 建築家の視点から ――

vol.26


続・TVがもしもなかったら

前回の『TVがもしもなかったら』というタイトルについて
多くの人から反響のメールをいただきました
そして、『うちもほとんどTVをつけません』
というご家庭が意外に多いことがわかりました。

今回はその続編で書いてみます。

というのも、コレはちょっと一大事に思えるからです。
大げさに聞こえそうですが、TVがないと
『居間のカタチがかわる』ということになってきます

さて、その理由・・・
建築の設計の中で居間というもの。
これは、『家族が集まって家族でTVを見る部屋』
という前提がどうもあるのです。
その証拠に居間にはTVを置く場所をたいてい作ります
どこに皆が座ってどのようにTVを観るのかを計画します

言いかえると、もしTVがないとしたら
居間の要(かなめ)すなわち
『だんらん』のきっかけなくなるということ。

これは一大事・・・・

しかし、これを一大事と思わない人が
どうも沢山いることようで、
『TVに依存しない居間のカタチもあるんだ』
というのは10月に考え続けたこと。

TVがなくても居間で『だんらん』できるのは
それは素敵なことのように思えます
例えば、少し大きめの居間で

ワープロをうつ人
読書する人
新聞を読む人
編物をする人
宿題をする人

が風景をつくる様子は
居間の理想形のひとつのだと思います。
TVに依存しない居間のカタチです。

もし完全にTVを無くせないとしても
たとえば『夜8時以降はTVを消します』
というような決まりをつくるのもいいかもしれません
こうすると、居間の使い方にメリハリがつくようにも思います

しかしココ2ヶ月、考えれば考えるほど
TVに依存している自分に気づくのです
とにかく意識を深めて向かい合いたいテーマです

最近完成したKさんの家には居間にTVがありません。
TVに依存していない家族の例です。

2002.11