くらしのなかで
―― 建築家の視点から ――

vol.20


電柱のつくり出す風景

先日新幹線の車窓からの景色を眺めていてつくづく思ったこと
日本の風景は電柱によってつくられている

車窓に次々と現れる各県の住宅地はどれも一様に
その家々の間から電柱が頭をだしています

つまり『電気の便利』がこの国(日本)を支配しています
そしてそれが当たり前の世の中になっています
皆さんも是非、連続する電柱をみて考えてみてください

電気はたしかに便利なものですが、それ故に
この電気が止った時、今の我々はあまりにも無力です
インターネットはモチロン電気が止まると全くダメ
それどころか日常生活の形成が危うくなってしまいます。

ではガスならいいのか?  答えは×
そのガスを動かすリモコンの電源(例えば給湯器)は電気です

石油ファンヒーターも ×  電気ナシでは動きません・・・

井戸も ×  最近は電気で汲み上げています

決して電気をやめようと言っているわけではありませんが
電気が止まったときのことにも思いをめぐらせておくこと
やっぱり重要なことです。
電気が止まるような災害が来ないとは言い切れませんから。

電柱は景観論として語ることも出来るのですが
今回は実生活に根ざして、電気への発言にしました。

電柱は『電気の便利』に支配されている日本
をあらわしています

2002.05