くらしのなかで
―― 建築家の視点から ――

vol.18

見えないものに気をつけろ



私が住宅を設計する時、
必ず確認することのなかに

この間取りは風の通る間取りか

ということがあります。
風通しは直接目に見えるものではありませんが
とても重要なことです
世の中は高気密高断熱がブームですが
そんなことよりもずっとずっと大切です

どれほどエアコンが発達しても この日本という風土では
一年のうちの数ヶ月はエアコンなしの生活があります
さわやかな風は本当に気持ちのよいものです。

気持ちよく風の流れる家

こういったたぐいのものは
住んでみないとわからない快適かもしれません。
さて風を流すコツですが、例えば

北の窓と南の窓を開ける 
下方の窓と上方の窓をあける


すなわち部屋の端から端に向けて開けることが重要です
さらに風の入り口は小さく、出口は大きく開けること
こうするとより効果的です。
換気扇を使うときでも、必ず空気の入口をつくってあげないと
十分な換気が出来ません。(風が流れない)
その時も、換気扇近くの窓を開けずに離れたところの窓を
小さく開けてやると全体の風が動いて効果的です。

また、風の流れないような間取りでも少し手を加えるだけで
うまく風が流れたりすることもあります。
皆さんも家を建てるときには、この見えないもの
『風の流れ』に気を配るといいですよ。

写真は越屋根(こしやね)というもの
私の設計した実家の庫裏の屋根の写真です。
越屋根は三重県ではあまり見かけませんが、
暑い日にはこの窓から熱気を逃がすスグレモノ
タテ方向に空気を流す仕掛けです。

2002.03