くらしのなかで
―― 建築家の視点から ――

vol.17


壁にするか、窓にするか


家を建てるときによく言われることです

『明るい家にしてください』

はいはーいと、一面ガラス窓の家を作ったとします
きっと使いにくくて仕方がないことでしょう

住宅には必ず入ってくるモノがあります
タンス、机、本棚、ベッド、TVボード、食器棚 etc....
イロイロなものが部屋には入ります。

そしてたいていの場合、モノを置くには『壁』が必要です
専門家同士の間で時々
「これは家具が置きにくい間取りだね」と話すことがあります。
原因はイロイロあるのですが、その多くは
部屋の窓の位置が悪くて家具が置けなくなっていること
たとえ壁があってもドアが開いた時にふさがる壁なら
やはりモノは置けません

家はよく、3DK とか 4LDKといった部屋の数
判断されます
少し高度になるとシステムキッチンやユニットバスの仕様など
設備機器に気が向きます
さらに高度になると押入や納戸など収納も判断基準に加わります

しかし『どんなものがどう並ぶのか』ということにまでは
気は向かないものです。 同じ面積の住宅でも
『モノがおける間取りとモノが置けない間取り』はあるものです

家を建てるときには、このあたりにも気を回すといいですよ。
最後に教訓

  『窓はただつけりゃいい訳じゃない』

我が家の居間です。
ここに窓があったらきっと困りました。

2002.02