くらしのなかで
―― 建築家の視点から ――
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記憶になるようなものをつくる
私の生まれ育った家には 黒い土の土間 がありました。
そこにはクドというかまどがあり、私は幼少の頃
このクドのまわりで一日の多くを過ごしておりました。
当時、我が家はガスの炊飯器を使っていましたが、
時々クドに火を入れたことを覚えています。
この土間とクドはとにかく私の大好きな場所でした。
土間もクドも昭和51年、
自宅の改築工事により姿を消しましたが
私のその空間体験の記憶は未だに消えていないのです。
土間もクドも記憶の底にしっかりと根付いており
私の建築活動の原点となっています
そういう自分の体験があるからこそ、
特に住宅の設計では『何か記憶になるような空間の仕掛け』が
つくれないかを考えます。
当然、その『仕掛け』は家によって違います。
それは広い土間かもしれないし、堀コタツかもしれないし、
大黒柱かもしれないし、大きな階段かもしれません。
意識的にこういった『仕掛け』をしつらえていくことが
『簡単に家を壊さずに住み継ぐこと』への
働きかけにもなるとも思っているのです。
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クド を懐かしく感じる人も多いのでは・・・
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