くらしのなかで
―― 建築家の視点から ――

vol.4


転ばぬ先の手すり

お年寄りが『なんでもないところで転んだ』という話を
時々耳にします。
またその時、骨折した話も耳にします。
寒い冬は、体が思うように動かないので特に注意が必要です。

バリアフリーというブームのおかげで
最近、家の中に“手すり”を積極的につける風潮があります。
これは大変結構なことです。

手すりは本当に偉大な存在です。
例えば住宅の階段の手すり、
手すりのある階段を登っていると
無意識に手すりをつかんでいることに気付きます。

本当の無意識にです。

『家族はみんな元気だから、まだ手すりは要らない。
手すりは家族の誰かが不自由になった時につけよう・・・』
というのはよく聞く話です。
しかし、その誰かの不自由がわかった時では
遅いかもしれません。

手すりが無意識の存在ゆえに
手すりをつけることで、この先起きるかもしれない事故を
無意識のうちに防いでいくと思います。

ゆえに、積極的に手すりを見直すことをオススメします
とりあえず階段、浴室、便所、玄関、このように
上下移動をする場所がチェックのポイントです。

最近はホームセンターあたりで
木製の手すりも安く販売されております。
多くの場合、日曜大工で対応出来るでしょう。
気をつけることは手すりを取り付ける下地です
石膏ボードやしっくいの壁にはビスがとまりません
しっかりとした木に向けて取り付けることが重要です


手すりをつけた便所

2001.01