くらしのなかで
―― 建築家の視点から ――

vol.3


モノと上手に付き合うこと


現代の日本人は、どうもモノを持ちすぎているという実感がある
ほとんど使わないモノをたくさん持ち、
そのモノに振り回されていることも多いのではないか
モノに対して良く働くのが

* これは、いつか使うことがあるかもしれない
* とりあえず置いておくことで安心するのです

というような論理。私も両親からよく聞かされるコトバだ・・・
これはずいぶんお金のかかる話であることにお気付きか??

例えば、坪単価50万円で家を新築したとする。
そして六畳間(3坪)が全く使わないモノの物置に
なってしまったとする (これは実際、非常に多い例なのだ)
すると、モノを置くという安心に150万円かけたこととなる
更に、この一部屋にモノが全てまとまることはまず無い。
モノが日常の生活空間にも溢れ出し、
モノの隙間で狭く暮らすことにもなってくる

決して捨てることが正義とも言い切れないが
モノに振り回される結果、生活にマイナス要素が入るくらいなら
思い切って 『モノを捨てること』 を考え直すことも必要であろう

ただでさえモノがあふれているこの世の中。要は
“ちゃんとモノを管理しながら、モノと上手く付き合うこと” が
要求されていると考える。


物置になってしまった部屋

2000.12