くらしのなかで
―― 建築家の視点から ――

vol.1


水は嘘つかない『水は高いところから低いところに流れる』


9月上旬の東海豪雨は記憶に新しいところです。
未だに大水害の復旧は遅れており、
愛知県西枇杷島町では3週間たった10月2日現在でも
62世帯が避難所生活をしているということです。
私は自然の脅威に驚きながら、あの豪雨を通して思いました
『水は高いところから低いところに流れる』 と・・・。

当時、西枇杷島町でおこったのは(堤防の決壊により)
水が高いところから低いところに流れ込んだ事実です。
TVで大浸水の様子を見て私の脳裏をよぎったのは
雑誌等で見る“素敵な住宅の地下室”でした。
地下室の計画は、やはり水に対しての注意が必要だと
再確認しました。

建築基準法では地下室の面積について、
容積率の緩和措置があります。
このため、特に都市部では積極的に
地下室をつくるケースがあります。
しかし地面より低い部屋は、
排水計画をしっかり取らねばなりません。
万一の時に、周辺から水が入ってこないように、
そして入ってきた時はどのように対処するのか、
を最初から考えておかないと
地下室は池になってしまいます。

今回の水害は、建築単体のつくりようではどうしようもない
大災害の例です。
しかし、『水は高いところから低いところに流れる』
これを教訓として強く私に教えてくれました。

毎日新聞9/12朝刊 愛知県西枇杷島町の様子
2000.10