2022年12月10日・11日に津市久居アルスプラザで開催された「SPARK 6人のアート展」の事後インタビューを掲載します。このアート展にはkawakita atsushi、humaninterest、10G、Lazy D、寛治、あい 6人の作品が展示された。

 

kawakita atsushi 青字 以下(ア)

寛治 緑字 以下(カ)

インタビュアー ラプタ 黒字 以下(ラ)

 

(ラ)今回の企画展「SPARK」お疲れ様でした。 まずはお二人の自己紹介からいきましょうか。

(ア)三重県松阪市在住 kawakita atsushi です。 手描きとパソコンを使う技法【ハイブリッドアート】で絵を描いたり、絵本を作っています。2020年からアート活動を開始し、三重、東京、大阪で個展やアートフェアに参加しています。夢はNYで個展をする事です。

(カ)クリエイター集団チャクラダイナミクスの寛治(かんじ)です。ラッパーであり映像作家でもありますが、今回は芸術家としての顔をバシバシ出していきたいと思います。

(ラ)atsushiさんが主軸になって、津市久居のアルスプラザで2日間に渡り企画展が行われました。ふらっと寄ったお客様も含め、かなりの来客だったと思います。飾ってある物を見て終わりというだけではなく、来客と作者での一対一のコミュニケーションの時間が多くて、作者との距離感が近い展示だったと感じました。この企画展はどういった経緯で開催されたのですか。

(ア)昨年、アルスプラザで個展をやったので、今年はグループ展を開催したいと妻と話をしていました。この2年間で経験した活動を誰かの為に分け与えたくて、形となったのが、母ちゃん(実母)と仲間たちを集めた6人のグループ展[spark]でした。今回のグループ展の経験を経て、メンバーの誰かが、また新しい"spark"を誰かに与えていってほしいです。

(ラ)sparkとは火花という意味ですよね。芸術の「閃きの火花」とか鉄の溶接作業のように、人が「繋がる瞬間の火花」といったイメージでしょうか。寛治君とatsushiさんがつながったきっかけ、またアルスプラザという場所を選んだ理由はありますか。

(カ)atsushiさんと繋がったきっかけは、ラプタがatsushiさんとの絵本を発表して、そのタイミングでatsushiさんの個展があり、そこで仲良くなりました。友達になったというより、仲間になった感じがして、この先も付き合っていくだろうなと感じました。その時の会場がアルスプラザでした。

(ア)去年ラプタ君と作った絵本「おおきなものがすきなおうさま」のデビューもここだったんです。 寛治君を紹介してくれたのもここだったと思うけど、紹介してもらった時から、彼とは何十年も前から付き合っている仲間のような不思議な感覚でした(笑)
寛治君のオーラなんでしょうね! アルスプラザは利用料金も駐車場もベストなので最高です。 作品の販売も可能なので作家のモチベーションも上がります。


(ラ)二人とも来客対応が丁寧ですよね。在廊中、atsushiさんは全員に1から全部説明してたし、寛治君は子供達に自分の技法を実践させて、絵を一緒に書いてましたよね。 コミュニケーションも大事にしてますか。

(ア)ぼくは普段、恥ずかしがり屋の反面、自分の絵になると積極的に名刺を渡してアタックします。 一人でも多くの方に僕の表現や作品のパワーを感じてほしいからです。 純粋に夢を語り、こつこつと歩んできたアート活動のお話をすると、ときどき泣かれる方も見えます。
 僕も嬉しくて涙目になっちゃいますけど。笑  また個展は作品を買っていただける機会でもあるので、興味を持ってくれる方には若者からお年寄りまで真剣に対応します。 SNSは新しい出会いやチャンスなど自分を宣伝するには凄く便利で利用してるけど、やっぱり作品は現場に来ていただいて相手の目を見てお話するのが好きです。


(カ)作品だけを知ってもらうんじゃなくて、作者がどんな人なのか知ってもらうことで、より作品に興味を持ってもらえると思ったので、来てくれた方には積極的に話しかけに行きました。 そのおかげで、絵だけじゃなく音楽活動にも興味を持ってもらったり、グループ展が終わったあともたくさんのメッセージやコメントをいただいて嬉しかったです。
あと、どういう風に絵を描いているかがわかるように、パフォーマンス的な意味も込めて、会場で絵を描いていました。そこに子供たちが集まってきたので、皆にも紙とペンを渡して一緒に絵を描こうと誘いました。すると絵を描けない子が意外にも多かったので、とりあえず、自分が絵を描く時のコツを教えてみると、皆いっきに絵を描き出して止まらなくなっていったのが面白かったです。最終的には、俺の描いてる最中の絵に、子供たちも絵を描き足していって、素敵な絵が完成しました。その絵は、子供たちの通ってる学校の校長室に飾るそうです。笑




(ラ)グループ展ということで6名が参加されましたが、どのような人選によるものでしょうか。

(ア)メンバー集めはフィーリングですね。この仲間たちなら絶対に成功するって信じていました。 そして、来てくれた人から沢山の笑顔と笑い声や、「元気貰った」とか、「俺も、私も、何か始める」という嬉しい言葉をいただきました。 展示をした時の喜びの一つとして、仲間たちが作品を見に来てくれたり、何十年振りかの再会が出来たり、サプライズがあることが本当に嬉しいです。

(カ)僕が今回のグループ展の参加に至ったのは、今年の春先にatsushiさんから「何人か集めてグループ展をやろうと思ってて、寛治くんも参加しない?」と声を掛けてもらったのがきっかけです。実は、この時「いつか個展するだろうなぁ」と想像してたので、タイミングが良すぎてビックリしました。

(ラ)そんな想像があったのですね。お互いの出会いからグループ展までの経緯にも何か不思議なつながりを感じますね。寛治君はこの一年で大きな変化があったことと思いますが、これまで世に出てこなかった「絵を描く人」としての側面はどのように作り上げられましたか。

(カ)子供の頃からオリジナルの怪獣の絵を描いては、頭の中でその怪獣とゴジラを戦わせたりしてました。ラップをやりだしてから音楽のほうが楽しくなって絵を描く頻度は減っていたけど、自主制作のCDのジャケットを自分で描いたりして、なんだかんだで描き続けていました。 「絵を描く人」のイメージを付けたいと思ったのは、モールファクトリーという伊勢のプリント屋に行くようになってからです。そこで地元の作家やスケーターたちが好き勝手に作ったzine(ジン)と呼ばれる冊子があることを知って、「俺もこれやりたい!」と思ったのがきっかけです。

(ラ)寛治君はモールファクトリーのことをいつも嬉しそうに話してくれますよね。ラップをしている姿しか知らなかったので、壁面に飾られたたくさんの絵を見たときには、驚きましたよ。

 あつしさんは、とくにこの2~3年で活動が活発になり、作品がたくさん制作されたことと思います。アート活動をはじめたきっかけ、発表の場が広がっていった経緯などを教えていただければと思います。

(ア)2016年、娘に絵本をプレゼントしたいって思いが絵の始まりですね。 それまで絵を描いたことがない人生だったので、約2年間は作風の試行錯誤、道具の模索などスランプと葛藤の日々でした。 絵本は2冊完成したけど、まだまだ人にアーティストですって言えるレベルではなかったです。 転機が訪れたのが2019年。インクとヘラとパソコンを使う全く新しい技法を見つけて。その瞬間に、この技法で世界にいけるって確信しました。それを「ハイブリッドアート」と名づけました。それからの一年間は描いて描いて描きまくりました。 活動がブレないように、夢を「ニューヨークで個展」と設定し、活動を開始しました。 真っ直ぐに、自分を信じて行動すれば、沢山の出会いとチャンスに恵まれるんだと実感しています。



(ラ)あつしさんの技法にはかなり個性的な工夫がありますよね。初めて見たときになんてきれいな色使いなんだろうと心を奪われました。それから3年になりますが、初期の実存する物を描く作風から、徐々に抽象的な作画に変化しているように感じます。一方でメッセージ性は強くなっているように感じるのですが、そのあたりについて聞けたらと思います。

(ア)僕の表現には2つの顔があって、 1つ目は、現代アートを通じて大人の世界へのアンチテーゼを行い、常に若者に勇気と希望を与えることを志している。 2つ目は、四季や文化を大切にする人々の平和な世界を描いている。 今でもこの二つを使い分けて制作しています。 溢れ出すエネルギーとアイデア、そしてビビッドな色を操り、見る人に優しさや温かさ、鋭さや厳しさを与え、心の奥底にそっと語りかけております。

(ラ)寛治君が異星人を描いているのには何かテーマというかコンセプトというか、そういう設定みたいなものはあったのですか?制作の技術面でも聞けるところがあれば聞きたいです。モールファクトリーのリソグラフから影響を受けて技術的に工夫した点などがあるんですよね?

(カ)テーマを決めて描くこともたまにありますが、描くものを先にイメージするとゴールが決まっちゃうので上手く描こうとして苦戦するんですよね。なので基本的には、頭で考えず無心で描いて偶発的に生まれる作品を大事にしています。これはフリースタイルラップをやっている時、考えながらラップすると上手くいかないけど、何も考えずにやると思いがけないフレーズやグルーヴが出たりすることに気付いたので、絵にもその手法を取り入れています。例えば、一枚の紙に小さな〇をひたすら描き続けます。すると細かい丸の集合体になっていく途中で、シルエットが浮かび上がってくるんです。そのシルエットに目を描き足したりするとキャラクターが誕生するといった感じです。
 
 僕の絵がカラフルになったのは、モールファクトリーでリソグラフ印刷という技法を知ったことがきっかけです。フルカラー印刷と違って、一色ずつ刷って色を重ねていく版画のような技法なんですが、それを知ったことで、モノクロの絵ばかり描いてきた僕は、使っていた黒のボールペンをカラーボールペンに変えたことで、一気に明るくなりました。
 
 それと、僕の絵には、それぞれ面白いストーリーがあり、それをセットで一つの作品となっています。これはグループ展に出るにあたり、絵だけの表現ではなく、何か違った表現をプラスして勝負したいと思ったのがきっかけです。そのおかげで、グループ展に来てくれたお客さんたちが、僕の作品を流し見せず、絵とストーリーを見て笑ってくれている光景がたまらなく嬉しかったです。


(ラ)atsushiさんの絵は、松阪のdarumaの店内にも飾られていますよね。お二人の絵に触れられる場所、作品を購入できる場所、それから今後の展望、発表の予定などありましたら教えてください。

(ア)2023年一発目の展示は三重県文化会館で開催されるアートフォーラム三重で、ドゥードゥルさん(カフェ)のギャラリーで展示と販売をします。 開催期間は2023年1月18日(水曜日)~22日(日曜日)9時~17時です。 ご都合が合う際はぜひお越しください!
 ダルマさんは、僕と下村さんって方で月一の交代で展示しています。 僕は奇数月を担当していて今年で3年目になります。 お店で展示されている作品やインスタなどで投稿している作品は販売もしているので、気になる絵などありましたら、お気軽にご連絡ください。 あと本年も東京と大阪で勝負したいし、海外も視野に入れています。


(カ)現在、皆に楽しんでもらえるzineを作るため奮闘中です。絵だけじゃなく、重要なメッセージが込められた内容になる予定です。期待しててください! そのあとはサイズが大きい作品や、ライブペイント等にも挑戦してみようと考えています。
あと、今回のグループ展で皆からもらった刺激のおかげで【SPARK】というソロアルバムをリリースしました。色んな人の創作意欲を沸き立たせたくて作ったので、皆に聴いてもらえるようにフリーダウンロード式で出してます。是非チェックしてください!

 

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