インドを舞台に、スラム街で育った青年ジャマールが“クイズ＄ミリオネア”に出演して、難問を次々クリアしていきます。最後の一問を残して、これは何かイカサマをしているからだと逮捕され、尋問されるのです。でもそれは偶然にも、彼の歩んできた半生にその答えが隠されていたからだったのです。

　クイズに導かれて、ジャマールと兄のサリームと 行動を共にしてきた幼なじみのラティカの３人が辿ってきた過酷な過去が 回想シーンで描かれていきます。ちょっとしたユーモアも交えつつ 彼らの生き抜く知恵やたくましさと共に、インド社会の重く悲しい”現実”も見ることになりました。彼らの幼少期や少年少女期の子役たちの 演じているとは思えないようなリアルな姿に 心が痛みます。
　ジャマールはラティカへの想いと行動が、なんとも真っ直ぐなんです。これはラブストーリーでもありました。
　ずる賢くていつも得をしてるふうなサリームだけど、実はジャマールの生き方にある自分とは違う強さみたいなものに 嫉妬や憧れのような感情もあったような気がしました。彼は手を汚して身を守ってきたけど、最後は弟とラティカを守るために命を賭けて、そんな自分への苦しみを清算したかったのかな。あまり印象のよくない人物だったけど、彼のなかにある悲しみも感じることができました。彼も一緒に逃げ出すことはできなかったのか、と思いました。彼は自分がかかわれば、今幸せへのチャンスをつかもうとしているジャマールとラティカに この先幸せはないと考えたのかな〜と想像しつつ、だいいち逃げ通すことなんてできないんだろうとも思いました。
　いろんな要素が絡む内容でしたけど、構成が巧みで、解りやすく展開していきました。（Comment2009.11.27）