天体観測 searchin' for my polestar <TV> (2002)


 これは何たってタイトルがUKIUKIのツボですから、伊藤英明にハマって早い段階で観たのですが、その頃は次々いろんな作品観たかったので、結局Commentが後回しになってしまってました。  いや〜、タイトルと内容とは直接はあまり関係なかったけど、きっかけとなった場の設定として、つまりオープニングの入り方としては楽しめて良かったです。そしてサブタイトルがsearchin' for my polestarとなってるように、登場人物の気持ち的には象徴的に言えば(人生の)天体観測しているわけですし、彼らのサークル名がSagittariusだったり、いつも寄るお店がJupiterだったりで、それだけでも胸がキュンと反応してしまうUKIUKIには、なんだか大切にしたい作品です。

 1996年 新勧祭かな、彼らのはじまりは・・・、美冬に何のサークルかって聞かれて恭一が「天体観測!ひとりで見えないものも、みんなと一緒なら見えてくる気がして。」って即席に口から出任せ言っちゃって、「入ってみよっかな」って、そのときの恭一のリアクション好き〜♪

 1999年夏、天体観測サークル「サジテリアス」の仲間7人、狭山恭一(伊藤英明)、川村友也(坂口憲二)、木崎タケシ(オダギリジョー)、沢村美冬(小雪)、宮部聡美(田畑智子)、井田有里(小西真奈美)、長谷川健太(山崎樹範)は、学生生活最後の夏に初めて星を見に行った。まあサークルの実態はお遊びサークルだったのでしょう。若いエネルギーが弾けている感じ。  オープニング、あれ何していたのかって後から分かりましたが、結局最後まで尾を引いていましたね。肝心なところだったんですけど、美冬の気持ちというか決断がUKIUKIにはよく理解できなかったです。あの結末はちょっと寂しかったな〜、UKIUKIは彼らほど強くなれないってことですね。。。(いきなりラストではなんですので戻ります。)  そしてその夜、彼らはそれぞれに将来への漠然とした夢を抱きながら、友情に包まれていた。

 3年後、聡美が夢をかなえて結婚することになったけど・・・。そのとき、そしてそれから、7人はそれぞれの人生に悩み傷つき、あるいは自分の生き方を模索しているのでした。それぞれが違う道を生きていて、それぞれに関われない部分を持つようになり、恋愛も絡んで気持ちが揺れ動き、それでも心のどこかで寄り添おうとする変わらない友情もそこにある。いえ、だからやはり彼らはお互いを思いやり関わっていくという展開なのです。もうそれは現実離れしているほどの作られた感があるのですが、それでも観ているUKIUKIもいろんな思いに揺れ動くのでした。それを全部書くのはとても難しいのであっさりパスして、恭一に注目!

 とにかくこれは群像劇なので、仲間それぞれを描きつつ絡みもいろいろあって物語がいっぱい詰まっているので、めまぐるしい展開といっぱいいっぱいな雰囲気にかき消されそうだけど、伊藤英明のすごく繊細な演技が恭一という人物を心に響かせてくれて、見応えあります!!

 恭一は経営コンサルタントの仕事に就き、かなり努力もして結果も出してきた社会人として、仲間の誰よりしっかり大人になってるなって思いました。 そして、美冬との恋愛より仕事を優先させてきたということもわかってきて、ちょっと醒めてて割り切っているのかな、大切なものを犠牲にしてまで仕事人間になってるのかな〜と はじめは思ったりしましたが、観ていくうちに、すごく誠実で温かい人だって分かってきました。

 忙しい仕事の合間に、タケシのこと気にして訪ねてるし、有里が困ってたら助けるし、有里を励ます花火にも付き合います。タケシにだって、彼だけ時間が止まった感じで仲間の世界にいる友也にだって、美冬にだって、シビアで厳しいこと言っちゃうけど、仲間を思う気持ちはありますよね。健太のことちゃんと心配してるし、自分が大変な時でも健太のメル友 有坂七重(長谷川京子)にも優しいです。
 仕事に対しては努力してきたし闘ってきた。そうして社会人としていちばん順調に人生を歩んでるふうだったけど、挫折はやってくる。同期社員に仕事を取られます。自分は市場調査に逆戻り。それに対しても冷静に対処しているところなんか大人だなあと思うし、悪びれることのない姿が素敵♪ 母親狭山てるみ(大谷直子)に対して自分がしっかりしなければという思いもあるみたいだし、美冬に対して裏切らない人生を見せようとする気持ちもあるようだし・・・。取られた仕事でその社員が手こずっている様子を見ると、自分が作ってあった資料渡したりして、仲間に限らないんです。「仕事には、誠実でいたいんだ。」って、ほんとうにいい人です。
 ところが、彼の誠実さは仕事だけじゃなかった。その誠実過ぎる(!?)ところ、優しさが、欠点かなとさえ思えてきました。
 特に自殺未遂をした七重の気持ちやカウンセラーの一方的な話を受け入れてしまうところ。実は健太の彼女ですと言わなかったばかりか、健太や友也や美冬ら仲間に誤解され或いは傷つけることになっても、たぶん彼らより弱い七重の気持ちを裏切らないで彼女が立ち直るのを助けます。自分も大変な時なのに、かかわってしまったこと、最後まで誰にも言わない恭一の誠実さを観ていて、正直言って心を病んでいると分かっていても七重にはイライラしました。
 この物語、七重や(恭一とは関わらないけど)アリスの絡むところはイライラすることいっぱいだけど、後半になってその辺り取り返してくれていったのでまあ良かったです。

 とにかく、ビジュアル的にも人間的にも狭山恭一はイイ男☆なのです。前半の頃の髪はもう少し短い方が好きだけど、その頃の恭一にはぴったり合っていると思いました。後半、少しサッパリしたような気がします。とにかくどの瞬間を切り取っても 美しい♪ すること全てがカッコいい!! 伊藤さんの演技の見どころ満載☆なのです。 つまり、彼には、仲間を思う気持ちのカッコ良さ、人の弱さや気持ちを受け止めてそれに応えてあげようとするカッコ良さだけでなく、自分だっていろんな問題抱えて苦しむけどちゃんと向き合おうとするし、言い訳しないところや、物思いに耽る姿、大好きな涙目や泣き崩れる姿にも、彼の気持ちのカッコ良さを感じます。
 タケシのために、土下座する恭一。
 嘘を責めるのではなく、「嘘なんかに頼らなくても、人と人とは繋がれる。」という 七重への言葉。
 億単位のプロジェクトから小さな潰れかけの町工場を担当することになり、5人とその家族のために、なりふりかまわず上司とぶつかり、力が及ばないことに泣く姿。ちょうどその時に美冬から電話があって、「今は美冬のことまで、考えられないんだ。気持ちがないわけじゃないんだ。」と、個人的には美冬の方が大切かもしれないのに。
 やっと七重がバスに乗れて、お礼を言われたのに対して、「ありがとう」ってひと言返すとこ。仕事で自分の力が及ばなかったことへの痛みを抱えているとき、七重の役に立てたことで少し救われる気分になったのかな。バスの中、陽だまりの中で、居眠る穏やかな顔。
 死んだと思っていた父親が生きていて、しかも自分の力でつかんだと思っていた仕事だったのに、コネ入社だったと聞かされる。父親からの電話を受けたときの恭一の表情が 忘れられません。「そんなに簡単じゃない。25年間、おふくろには俺しかいないと思って頑張ってきたんだよ。そんなに簡単じゃない。」おふくろには俺しかいないと思って頑張ってきたという感じ、もう初めから出てましたものね。UKIUKIも母と二人だったから、よくわかります。25年間母と自分をほったらかしにしていた父と、母の嘘・・自分に知らされてこなかったことが、許せません。でも彼は、父と母の愛情を理解します。だからでしょう、父と会った帰りの電車で「父さん・・父さん・・」って言えた。。。
 あと、全体的にめまぐるしい展開で、見どころいろいろあるけど省略。特に仲間とのシーン、美冬とのシーンも、・・・。自分にごまかしのない恭一だから、仲間を信じぬく気持ちは人一倍あったように思いました。そして、タケシの最後の生きざまや気持ちを、ちゃんと見つけてあげました。
 「前に進むって、ちゃんと生きるって、それはたぶんさよならを言うことなんだよ。ちゃんとさよならを言うってことなんだ。」ラストは、みんなこれから胸を張って生きることができそうって思いました。

 初めは、友也に引っ張られてだと思うけど、今さら個人的なことに入り込んでいく彼らの群れ方には正直鬱陶しさを感じました。UKIUKIは、親しい人とでもそれぞれ適当な距離をとりたい人ですから。友也以外は、お互いそれぞれに距離をとっていたと思います。でもあんなふうにお互いを思いやる気持ちがいっぱい重なってきて、物語だから楽しめたし、羨ましいと思って彼らを観ていたような気がします。そして涙ポロポロこぼしてました。
 ふと思ったんだけど、これを観てると男女間の友情は成立するなって思えます。
 いいラストだったけど、みんな強いな〜って思って、UKIUKIはちょっと胸がシクシクしました。