世にも奇妙な物語 '08  春の特別編 「さっきよりもいい人」 <TV> (2008)


今回、UKIUKIにとって初めての ”世にも奇妙な物語”でした。
1.さっきよりもいい人
2.これ・・・見て・・・
3.日の出商店街 いきいきデー
4.透き通った一日
5.フラッシュバック
以上5編のオムニバスドラマを観て、ブラックなユーモア、裏側が真実だったり、ねじれのラスト、といったような空気が全体的に漂ってるシリーズなんだという印象でした。

さっきよりもいい人

 萩原孝一(伊藤英明)、2008年3月21日の目覚め。恋人の恭子(藤澤恵麻)の誕生日を忘れてしまって「来年は絶対忘れないでね」と言われて一年、『今年こそは一生忘れられない最高の誕生日にしてやる』と意気込んで、一日のスケジュールを組んである。
 このスケジュールがね〜、孝一をこの悲劇から逃れられなくさせてしまったような気がしてたんですよ。恭子の誕生日を祝ってプロポーズもしたいという目標を達成させるため、孝一は“いい人”にならざるを得ない宿命を受け入れていった。だって、”情けは人の為ならず”は今日の運勢(言葉)でしょう。一日中家でごろごろ寝ていて明日になったらどうだったのかな〜と、ふと思います。
 でもこの物語は、そんな生易しいものではありませんでした。

 な〜んて言いつつ、これ おもしろかったです。悪いことするまでもなく、見て見ぬふりもできないのはキビシイ★  誰かに ”いい人”と思われない行動をしてしまう度に、朝の目覚めに逆戻り。孝一の心中を察すると気の毒で笑ってられない状況なんですけど、何かにつけて ついつい笑ってしまいます。ブラックユーモアですね。孝一の表情が誇張されてたり繊細だったり とっても豊かで、なんかツボな表情もいっぱいあって、パフォーマンスも 何かと おもしろくて、楽しめま〜す♪

 1年前に誕生日を忘れて『ゴメン』と謝って恭子を見上げるお顔やら、5回目に目覚めたときの『あー難しすぎるよ! もぉ〜っ!』とか、一日の終わりにやっと恭子にたどり着いたときとか、時々可愛いのよね〜。
 そうかと思えば、1回目『ヨッシ〜』と出かけていくとこや、妄想のスイートルームで・・、極めつけは火事の現場でバケツの水かぶって、濡れ姿がいいしねぇ〜☆ 子どもの救出に向かうところなんて、ものすごくかっこいいんだけど、 なぜか赤い薔薇の花束持ったままだったりで、なんとも かっこよさにも笑えちゃう〜。
 このとき、恭子が「待ってるよ♪」って、きっとそう言うだろうというのが脳裏に浮かんで、火の中に飛び込んでいくのを決意するんだけど、これってパロディ?! そうそう、夫婦喧嘩に巻き込まれて バットを受け損なうあの格好も、パロディ?! って、UKIUIKIが勝手にリンクさせてるだけかもです。

 3回目の目覚めで、孝一は『同じことを繰り返してる』と認識しますよね。でもまぁ、まだ『あり得ない! そんなこと・・・』って気分なんだけど。電車で違う席に座ればいいのにって思っちゃうけど まあいいや、老女に席を譲って、そこクリア。ありがとうと言われた後の吊革につかまっての思案顔、な〜んか好き♪

 4回目の目覚めで、『どうして。また戻ってる。これじゃ、いつまで経っても恭子に・・・』と焦りが出てきて、『やっぱりそうだ。いいことしないと、時間が戻るんだ。』と認識したのに、夫婦喧嘩に巻き込まれて5回目に突入。孝一もね、銀行でATMではなく窓口を利用して前とちょっと変えたりもしてるけど、あのおばさん現れるんですね。それでも一通りクリアしてきて、でもやっぱり違う道を通ってみたらいいのに〜とも思うけど、なんとか夫婦喧嘩をクリア。

 ところで、回想シーンで ”あの”指輪の値段を見て一瞬たじろぐ孝一に 「いいんだよ。私は孝ちゃんさえいてくれたら、あとは何にもいらないんだから。」と言う恭子の孝一への想いを、100%信じ込んじゃったよUKIUKIも。
 だから6回目の目覚めで、『ここで譲らなければ、前に進めない。』 『宿命は変えられない』と男に指輪を譲って、指輪はなくても恭子に会いに行こうとしたんだと思います。

 それから いくつも”いい人”をして、陣痛の始まってしまった妊婦に頼られたときの『え〜俺?』は、ほんとうに気が滅入った感じで絶妙でした。

 火事場でボロボロになって、やっとのことで恭子の待つホテルにたどり着き、恭子の姿を見つけて 『あぁ〜 待っててくれた〜!!』って思ってるふうのお顔、好き〜♪
 『俺、花束とか、指輪とか、何にも無いけど・・・』と、やっと恭子に会えて、かっこつけないで、何にもない自分で、プロポーズしようとしたら、なんと・・・。これでハッピーエンドってのも、ふつうありそうなラストですけどそうはいかない。恭子の指に光る”あの”指輪を見て、なんともすっとんきょうなお顔、好き〜♪
 『俺は、ただ恭子に会いたくて・・』なのに、いい人、いい人と言われるばかりで 、ついに『いい人なんかじゃない!!』と、パネルで殴りかかろうとすると・・・
 っで、7回目の目覚めに戻って、 ”いい人”したのに恭子には去られるし それでも自分の宿命に終わりは無いということを悟りきったような このときの表情が、UKIUKIのツボ☆のベストです〜♪♪ これで、おしまいってのも、ありそうなラストですけどそうはいかない。

 2018年、ボランティア活動と自己犠牲精神溢れる活動で、萩原孝一(42)ノーベル平和賞を受賞しています。ここまでたどり着くのに何回やり直したかわからないけど、最終的に10年間 も”いい人”であり続けたなんて奇跡的です。孝一のストレスがどれほどか、あのちょっとあんまりやわ〜って白髪頭に表れてます。
『私は、よく聞かれます。 なぜ、ここまで、いいことをするのか。 それは、そうしなければ一歩も前に進めないからです!! それだけです。。。』 それで司会者の足踏んで、あぁぁ〜10年前のあの朝に戻るんだ。。。

 元に戻ることを、楽しんじゃえ〜って、UKIUKIは思うよ。それに、自分が死にそうになったとき、それが心穏やかな納得の死ではなかったら、わざと悪いことするかもしれないな〜。 不老不死で、自分だけが年をとり続けていくのは不幸だっていうの、陰陽師やXファイルで描かれていましたが、この場合はあの朝に戻るんですもの。自分が時を繰り返していることを認識していて、この先どこに行ってどうしたらどうなるかを経験したところまでは知っているっていうのがポイントです。周りの人や世界もやり直してるってことだけど、でもそのことに気づいているのは、自分だけ。 それで目覚めて、全く違う目的を作って、違う場所に行って、違うことしようとするの・・・どうかなぁ〜。。。無理なのかなぁ〜。。。それにしても誰からも”いい人”と思われなきゃいけないんだから、やっぱりしんどいなぁ。どうしても 引き戻されて、同じ”いい人”の人生を繰り返さなくてはならないのなら、やっぱりとんでもなく悲劇です。
 わぁ〜〜〜今ごろになって、孝一の この先が心配になってきたよ。笑ってられな〜い!!