オーバー・タイム <TV> (1999)


 カメラマンの楓宗一郎(反町隆史)と美容師の笠原夏樹(江角マキコ)は、一番 心の近くにいる大切な人。それは身内と感じるほど、半分自分だと思えるほどの存在。カッコつけないで何でも言い合えて相談できて・・・、異性の親友ってあり得るのか。。。というのがひとつのテーマになっていました。

 夏樹と鶴町冬美(石田ゆり子)は親友の楓春子(西田尚美)と弟の宗一郎の家で共同生活することになります。夏樹は昔憧れていた家庭教師で今は医者になっている久我龍彦(椎名桔平)に再会し、宗一郎はガス爆発現場で彼の優しさに感動して尋ねて来た倉田なずな(木村佳乃)を好きになる。冬美は不倫の恋がどうなっていきますことやら。また宗一郎の後輩カメラマンの遠藤和也(加藤晴彦)と小林裕貴(伊藤英明)も、彼らに影響を与えていく存在でした。といったふうに、これはラブストーリー群像劇なのでした。脚本 北川悦吏子というと、ちょっとしたブランド感があります。

 当事者は真剣だけど、どうってことのない話が入り乱れてるな〜。でも心にキュンと響く瞬間がけっこうあちこちにあったりして、なかなかいいです。後半になって、ああでもないこうでもないっていう展開にちょっとイライラしちゃったけど。携帯普及してなくてみんなが持ってないから、電話しても間に人が入るし連絡取れないで心配するとか探し回るとか、今では考えられない状況もありました。

 基本的に、宗一郎はカッコ良く描かれています。なずな に出会ったシーンの優しさに、わ〜♪と思わせ、「・・・俺それ嫌い。本当に好きな人は大切にしたいっていうのは、どうでもいいヤツは何でもするっていうことだろ。だったらそんなカッコいいこと言うなと思う。みんな大切にするべきだ。」で、いい人だってインプット。
「・・・俺は、男は女の人を守るべきだと思う。好きなだけじゃダメだと思う。その人が幸せになれないんだったら、付き合っちゃいけないと思うし、相手を苦しませるって分かってる恋はしちゃいけないと思うな。」ですって。
(夏樹)「じゃあ、自分の気持ちは?」
「捨てる。もしくは、心ん中で凍結させる。」な〜んて。。。口先だけじゃなかったよー!!
 ラストで、宗一郎の涙と夏樹の笑顔が印象に残りました。後ろ姿の写真集もいいですね。

 っで、何やかや言って、小林が出てくるたびにUKIUKIの目は釘付け☆になるわけですが・・・。
 「冬美さん、けっこうキス上手かったし。・・・」とかって言ってるシーンが、かる〜いキャラ!なんだけど、その軽さかげんが嫌味じゃなくていいな。なずなに相談されてアドバイスしているシーンもいいな。話し方柔らかいけど、「理想が高すぎて相手が・・・」などと鋭いこと言ってる。あ〜その後も相談相手になってますね。宗一郎の後輩だしみんなより年下だけど、フリーになった宗一郎に仕事を持ってきたりもしてるし、人へのアドバイスがいつも的確なんです。だんだん実はしっかりしてるのかな〜って思えてきました。
 女性にでれっ〜とした雰囲気が垣間見られるキャラですが、彼自身の恋愛は描かれていないです。惜しい!というか、よかった〜!というか・・・。
 遠藤とは同期でしょうか、彼もああ見えて不倫の恋に破れた冬美に、本気の愛を授けたし。登場シーンは少な目の二人だけど、それぞれ全然違うキャラだけど、大切な存在だと思いました。
 でもね、客観的に見て小林は今風(?)のいかにもっていう若者のキャラだと思うんですけど、伊藤英明がこのキャラのようなイメージの役柄だけを演じ続けてなくて良かった〜と思います。彼の選択か、事務所の方針か、いろんなプロデューサーの方々の見る目か、・・・よく分かりませんがその後の作品で何度となくイメージ破り(イメージを固定させない選択)をしてくれて良かったと、改めて思ってしまいました。演出の中に羽住英一郎の名前がありました。「海猿」以前にこんなところで関係されていたなんて、感慨深いです。