救命病棟24時 (第2期) <TV> (2001)


 大学病院それも救命救急センター、人の死に関わることの多い現場の物語ですから、それはもう重い内容の連続なのですが、キャラクター的にユーモアの滲み出る人たちが多いっていうのもあるし、嫌味のないほどよいユーモアに溢れているので、楽しく観られます。医師や看護師の人数も、出入りする患者や家族の人数も多く、それぞれの人物にドラマがあって内容満載。これ、かなりお気に入りのドラマです。
 そして、小田切医局長(渡辺いっけい)の言葉「人の命を救う現場には、物欲とか企みとか嫉妬とかそういうのなにもないじゃない。この人、助けたい、それだけだ。」のように、”救命は医療の原点”ですから観ていて心地良い。いろいろ横槍入れてくる第一外科部長 神宮恭一教授(津嘉山正種)でさえ、最終的にそれほどの悪人ではなかったです。つまり、採算面や学長選挙なんていうのもちらっとは出てくるけど、病院内の対立とか功績の競い合いを観るという物語ではなく、それぞれの人物が目の前の人や出来事にどう向き合っていくか、人の思いをどう感じるのかどう受け入れるのか、自分はどうしたいのかどうしなければならないのか、喜び悲しみ迷い・・・いろんな気持ちをいっぱい感じることのできる作品です。
 リアリティのない部分が気になるという感想をどこかで見かけましたが、UKIUKIにとってはドラマなんだからいいや〜と思える作品でした。

   最近になってあれこれ観て、伊藤英明はお医者さんの役多いなあとか、同じ俳優さんと共演していること多いなあなんて思いますが、お医者さんといってもそれぞれ全然違うし、同じ俳優さん相手にしても彼自身はどう見ても別人で存在していてスゴイ☆です。と、まあそれも今思うことで、これがOAされていた時点では「愛、ときどき嘘」で松雪泰子との共演とか、「YASHA」で一応ドクターの資格で治療してる(?)とかちょっとあっただけで、「赤ひげ」「白い巨塔」での医者&江口洋介との共演も、「天体観測」での田畑智子との共演もまだ存在してなかったんですよね。リアルタイムに観てきたファンの方たちは、まだなかった作品のこと思い浮かべずにご覧になってたわけで、なんかひとつひとつ伊藤さんと共に歩んで来たっていうのを今実感されていらっしゃるんだろうな〜と思って羨ましいです。これからはUKIUKIも仲間入りさせてもらって、ワクワクしながら素敵な時を過ごしていけるのね〜と思ったりして嬉しいです。

 研修医 矢部淳平(伊藤英明)は、ちょっと笑える几帳面さなど面白いところもあるし、もちろんまだ未熟だし頼りないところや失敗もあるけど、医師になってるというのにふさわしい真面目さや優秀な感じはちゃんとある。そのあたりが絶妙です! そして命を大切に思う気持ちや一生懸命な気持ち、患者や家族に寄り添う気持ちの持てるところが素敵♪ また人の死と直面する現場でのわり切れない気持ち、真面目さゆえに悩んだり葛藤したりする姿がまた素敵なのです♪


・・・1話
 小田切薫 医局長(渡辺いっけい)は第一外科にもどるより、救命救急を軌道に乗せるために力を注ごうとしていて、医者を辞めていた進藤一生(江口洋介)にチームに加わるよう頼みます。小田切は、部外者なのに口出しした進藤に、素直に「助けてもらった」と言える人。心臓再生医学が専門で研究に力を注いでいたのに、理屈だけでなく臨床を経験するようにと救命にまわされてきた心臓外科医 香坂たまき(松雪泰子)は第一外科に戻りたくてしかたない。神林千春(小日向文世)、馬場武蔵(宮迫博之)、城島俊(谷原章介)。婦長や看護師の山城紗江子(木村多江)、桜井ゆき(須藤理彩)ほか・・・。矢部淳平と研修医仲間の太田川奈津(田畑智子)。「救命救急はチームワークなんだ」っていう小田切チームの物語がスタートしました。

 真面目な顔かっこいいんですけどね・・・、研修医 矢部淳平(伊藤英明)、しょっぱなはバタバタしていてほんと新米って感じだわ。カップ麺、3分計る神経質さが面白い。香坂たまき(松雪泰子)がちょっと気になってるのね偉そうなこと言っちゃって、ちょっと無神経なトコも笑えます。でも一生懸命頑張ってるってだんだん分かってきます。

 以下、救命の現場で繰り広げられる物語には、あれこれいっぱい感じたり考えたりしちゃうけど、思い切ってそういうのほとんどおいといて、ここではやっぱり矢部淳平に注目!

・・・2話
 研修医くん、救急車待つ間にも勉強してるのはいいけど、内容が少々・・・頼りないんですけど(笑)
 わがままな香坂と口の悪い進藤はまだチームの中でしっくりいってないけど、それぞれが思ったことをはっきり言うので感じは悪くありませんね。
 進藤に「治療方針を迷ってる間に患者は死ぬぞ。」と言われてしまう矢部。他の医師にも厳しい言葉をストレートに浴びせます。でも新藤は救命医としての技術が優れているだけでなく、患者の気持ちを察する心も持ち合わせています。新藤に言われたとおりベッド逆にしたら、患者も奥さんもすごく喜んで、・・・矢部は新藤に指導医になってくれるように頼むのでした。

・・・3話
 次々患者がやって来て、今回も内容いっぱい。  喉に刺さった魚の骨抜いてあげて嬉しそうな顔。矢部が辞めるかどうかで賭けをされてるよ〜。しかも新藤まで賭けてる(笑)

 矢部は、劇症肝炎の5歳少女みさきの担当を願い出ます。なもんで、太田川が第一外科からベッド不足でまわってきた肝臓癌末期患者の担当医になりました。
 両親への説明不足で謝ることになるし、症状が改善しないので落ち込みます。一方 太田川も余命わずかな患者を相手にどう接したらいいか悩んでいます。屋上で悩み打ち明けあってます。「・・・あの子に死なれたら、俺医者やってく自信なくなるな〜。」
 今日で10日目、何もできずにみてるだけなんて辛いと言うと、新藤から「ほんとにできることは全てやったのか。」という言葉が返ってきた。一生懸命考えて考えて・・・
「お母さんの枕を持って来てほしいんです。それと・・・」「子どもの頃、入院してたことがあって、同じことをしてもらったんです。」「みさきちゃん、わかるかいお母さんの臭い。君が目を覚ますの、みんな待ってるよ。」なんて優しい表情でしょう♪ でも親からは担当医を替えてほしいって言われます。そしてハーモニカ吹いて、話しかけてあげてます。 進藤は両親に「今のみさきちゃんに必要なのは、名医じゃありません。心からみさきちゃんを救おうと願っている、彼のような医者なんです。」って・・・。みさきちゃんに気持ちが通じたのか、意識が戻って良かったです。一方、太田川も安らかな最期を看取りました。これ以降、「研修医」って呼ばれ方から「矢部先生」「太田川先生」に昇格したようなしないような。
 「子どもの頃入院してたことがあって・・・」はセリフだってわかってるけど、伊藤さん自身のことみたいで・・・、なんかジーンとしちゃった。UKIUKIの子どもも1週間足らずの入院ですが何度かしたことがあって、小児病棟にはいろんな子たちが入院していて、どんな言葉にすればいいかわからない気持ちになりました。短期間だけ入院してる子には母親や祖父母が付き添ってるけど、本人は不安だし苦痛だしおまけに退屈だし・・・、ウチのようにあんまり泣いたり騒いだりしない子でもすごく大変でした。とにかく私にしがみついて我慢してる子を抱きながら、重症なんだなって感じの家族を見るのは辛かったし、長期入院してる子が何人もいて、そんな子たちには普段付き添いもいなくて、けっこう食事療法も厳しそうで、毎日たまらない気持ちだろうな〜って思いました。寝たきりのような子のベッドの周りに、ずーっと入院してたのでしょうね、5話の女の子のように親が飾りをいっぱいつけてたのも見ました。とにかくドラマででも入院してる子どもやその親を見ると、そのときのこと思い出してしまいます。

・・・4話
 医師としてなんとか頑張って仕事こなしてるって感じ。
 香坂先生に致死率の高い感染病が疑われているのを知ってしまってものすごく心配してる。やっぱりちょっと特別な感情あるみたいじゃない!?電話して患者からのハガキ読んだり、患者にかこつけて先生の目がステキなんて、一生懸命励ましてる。検査結果は陰性、「無事でよかったぁ」ってほんとうに嬉しそうに迎えてるよ。でもあれれ?ハガキの患者の担当医は人違いだったんだな〜(笑)

・・・5話
 チームで規則より命を救うために強い姿を見せてくれたり、ほか色々いいお話でした。
 楽しいか?やりがいって何?どうして医者になろうと思ったのか?と問われ、すぐには答えられず、「太田川はどうして・・・?」返ってきた言葉に「聞いた俺がバカだった。」が笑えましたよ。それからもずーっと延々と考えてた几帳面さがたまんないね。 「小学校1年生の時のことでした。同じ部屋に入院していためぐちゃんと遊んだ時のことでした、・・・・・。物事は始めからきちんと考えないといけないと思いまして。」な〜んてね。

・・・6話
 喘息少女、肝臓をもらえない夫、プロボクサーとさまざまな患者が運ばれてきます。
 ボクサーに掴みかかられてムカついてるのをグッと抑えてる顔がいいね、そして「男はさ、結局腕力なんだよ。クッソ〜」とかって急に鍛え始めてるのが可笑しい。結局一方的に殴られたけど、自分は腕力を使わず、それでよかったよ。「あんたが自分で敵をつくってんじゃねえか。ひとばっか恨みやがって、いつも自分から先に手出してんだろ。」と言い放ったのは、なかなか気合いが入ってたね☆ 自分を抑えて、どんな相手でも患者としてみるってことを学んだようです。

・・・7話
 悩める看護士たちを中心に、お話がすすみます。
 寝起きの寝ぼけた感じがキュート♪ すいか食べちゃって、うるさ〜い保険のおばちゃんにつきまとわれるんだ。自分の命に値段つけられてるみたいで〜って、決められません。でも彼女、同じ”死を扱う仕事”をしてる者として、「みんな何かしら思うところがあるのよね〜。」ってけっこう救命の先生たち一人ひとりのことよく分かっててジーンとしました。

・・・8話
 出会ったのが将来共に過ごしていけるような運命の人かどうか。。。患者の場合、医者の場合・・・。
 香坂先生のこと「ミス救命♪」だって・・・、”僕にとって”ということかな。
 太田川だって結婚とか運命の人かどうかとか思い悩んだりしてるのに、全く相手にしないなんてまだまだ女心がわからないのね。
 進藤の「医者が患者を選ぶのか。研修医の前でそんなことするな。」って言葉は、インパクトありました。心ある馬場だから、気持ちを踏みにじられた女性にかわって許せなかったくだらない最低の男が患者なんですもの。でも医者にとっては患者だと、矢部にもきちっと伝わってましたね。

・・・9話
 今回もいろんな患者がやってきます。仮病が見抜けないのは、真面目すぎたのかな(笑)経験が解決しそうですね。
 愛人とホテルにいて倒れた男が運ばれてきたけど、手遅れで死亡。「奥さんかわいそうだな〜。」っていいねぇ♪
 「香坂先生の浴衣姿・・・」って想像して喜んじゃってます。ソファーで寝てるの見て、「かわいいな〜」ってのもあります。
 夫の最期を聞きに来る妻。矢部が対応することになってしまい「どうやって伝えたらいいかわかんないよ、も〜。だいたいなんで俺なんだよ。」毎日やってくる妻に「何て言ったらいいのかなあ。」と困ってるのですが、でも専業主婦の妻が、どんな思いで夫の帰りを待つ生活をこつこつとしてきたかがわかってきて、最後に堪らない気持ちを抱えてしまったことがわかって、そのときの矢部がとってもいい感じ♪ そして彼は答えを出しました。
 醤油を飲んで担ぎ込まれた妻に、「大変だったでしょう・・・。ご主人はお一人でした。僕が保証します。」「僕を身内の誰かと勘違いされたみたいで、最期に文子をよろしく頼む、アリガトウと伝えてくれって。口にはしなくても、奥さんには感謝されてたんじゃないですか。」妻はその瞬間真実を悟ったけど、矢部に今までの自分を認めてもらえたことで自分の気持ちを納得させることができたのでした。

・・・10話
 高校の時、つきあってた女性登場。こちらは医者で彼女は弁護士になってるって、すごいね。半年つき合っても手も握らなかったのは「おまえのこと、だいじに思ってたからだよ。」って不器用なんだから〜♪ 手ぐらいいいじゃない(笑)彼女の母親と植物状態の父親が担ぎ込まれてきてたのでした。
 父親の仕事やかつての事故にまつわる疑惑が出てくる。心筋梗塞が再発した父親に救命措置をせずに看送ったことが許せない娘、そして矢部。

・・・11話
 「いいんですか、それで。僕は、納得できません。香坂先生の判断に落ち度はなかった。落ち度があるとかないとか、そういう問題なんですか。どんなときも、患者の命を全力で助ける、それが救命じゃないんですか。僕らはいったいなんのために頑張ってるんですか。香坂先生は結局患者を見殺しにしたんですよ。」「香坂先生、失望しました!」真っすぐですね〜☆
 そうこうしていて心電図の異常を見落とし誤診をしてしまいます。進藤に「おまえそれでも医者か。自分の患者をいいかげんに診るヤツに、人の批判をする資格はない。」とかって言われて街に飛び出します。いろんな思いが頭の中を駆け回っているのでしょう。
 でも父親と母親それぞれの思いが明かされると・・・、永遠の別れをどう迎えるかどう看送るのかについて考えさせられるお話でしたが、そこに矢部はいなかった。「淳平くん、私間違ってた。あなたは病院に戻って。」
 医局長からは「小田切です。矢部先生、どこ行っちゃったの。早く帰っといで。」って。。。すぐには戻れないで、街をブラブラしてもなかなか気持ちの整理ができないようです。
 医局長と進藤で矢部先生を待っててあげてたんだけど、医局長が一人残ってまもなく倒れてしまったのです。

・・・12話
 やっと病院に戻ったら、医局長は脳死に、そして家族からドナーカードが提示されました。
 医局長を臓器摘出に送り出して、すぐにホットラインのコールが鳴って・・・。どんなに頑張っても死んでいく患者。「進藤先生、僕小児科に移ります。4ヶ月いましたけど、僕は救命には向いてません。もうホットラインのコールは、聞きたくないんです。」矢部って子どもを相手にしているときがすごくいい感じで違和感なくて似合ってると思ってたから、小児科を選んだのには、むちゃくちゃ納得してしまいました。

 小田切医局長のつくった救命をどのような形で守っていくか。。。考えるより、患者を目の前にした現場の闘いがチームの意志を神宮教授の決意を矢部の気持ちを固めていきました。
 スタットコールで戻ってきた矢部が、重症の子どもを診る真剣な表情は頼もしかったわ☆ ただ”患者を助けたい!”という思いだけ。彼は”医療の原点”に戻ってきました。
 医局長からの臓器を移植された患者の子どもからのサンクスレター読んで、「小田切です。矢部先生、どこ行っちゃったの。早く帰っといで。」って医局長からの伝言再生して泣く姿にはもうボロボロにもらい泣きしてしまいました。彼はこれからも、くじけそうになった時にはこの医局長の言葉を聞くような気がするなあ。