クロスファイア (2000)


 パイロキネシス(念力で火を起こしてしまう力)を扱った物語。UKIUKIったら、即XF「炎(S1)」を連想しますがあのセシル・ライブリーと違って、青木淳子(矢田亜希子)はその能力を思い余って使うことになってしまうところが共感できそうなんだけど、なんていうか のめり込むって感じにはならずに眺めていました。

 淳子は幼い頃から自分の恐ろしい“力”を抑えて暮らしてきて、会社の中でもわりと孤独に過ごしてきて、ある日 多田一樹(伊藤英明)に出会ってお互いに好意を持ちます。
 ところが、残虐な連続女子高生殺人事件が発生し、なんと多田の妹 雪江が犠牲者になってしまいました。犯人グループの中心人物 小暮昌樹(徳山秀典)は本当に憎い!許せない!と思わせる人物でした。でも未成年ということで罪を問われない。法で裁けない世の中の悪に対して、純子は“力”の執行をを抑えきれなくなっていくのです。

 ある雨の日に多田は淳子と出会いますが、短髪と笑顔が素敵〜☆に登場して淳子の落して物を拾ってくれたり、かける言葉とか、あっ彼って優しい人なんだ〜って分かります。でもそんな彼が、妹が殺されて「俺は許さない、絶対許さない!」心の中で犯人のこと、「殺してやる殺してやる・・・」って、実際そのつもりで出かけますが、淳子の”力”で止められます。
 淳子は、多田の代わりに、多田のために、「私にはできるんです。証拠は何も残さないで。子供の頃からずっと、この力を憎んでました。でも、多田さんの役にたてるなら。」と”力”を使おうとします。

 はじめはそんな”力”を信じられなかった多田も、車の炎上など現実のものとして確認することになります。淳子が小暮昌樹を狙うと、あんなに許せない小暮でもやっぱりもう見ていられなくなるのでした。
「雪江の声が聞こえた気がした。もうやめてって。・・・やっぱりあんなこと間違ってる。君も僕も雪江を殺したヤツらと同じになってしまう。もうやめよ。君は雪江のために、自分の秘密を打ち明けてくれた。敵を取ろうとしてくれた。それだけでいい。もうじゅうぶんだよ。」と、そして「それとも君は、自分のあの力を使ってみたかったのか。」とも 言ってしまうのでした。
 淳子は多田の前から姿を消しますが、それから多田はずーっと淳子を探し続けます。彼が刑事に彼女がやったらしいことについて「警察が許したことを、神様が許さなかったんだ。」と言うシーンが印象的でした。淳子が自分の意思ではコントロールしきれない”力”や彼女を利用しようとする者に巻き込まれていって、そんな彼女を引き戻そうと・・・「君にひどい事を言った。自分が許せない。誤りたかったんだ。僕が君を守る。何があっても絶対!・・・一緒に生きよう。」と素敵〜☆な雪の中のシーン。ここだけ別の作品を見ているようだったわ〜。。。
 そして彼女を抹殺しようとする者から助けようと必死になるのですが、彼は何も特別な力を持たない人ですもの・・・。派手な映像に囲まれた悲しい別れの後、ラストシーンは落ち着いた感じでホッとしました。あっ淳子が今も多田を見守っているって感じ、XF「影(S1)」を連想しました。

 ところで、淳子の他にも超常的な力をもつ人物木戸浩一(吉沢悠)が登場したり、淳子と同じ力も持つ少女倉田かおり(長澤まさみ)が利用されたり、また警察内部に超法規的に悪を抹殺しようと、しかもそれが今や快楽的になっているという人物もいます。
 また牧原康明(原田龍二)って刑事は、幼い頃の淳子に関わったことから引きずっている心の傷を持っています。

 それぞれの登場人物の思いはシーンごとに重いものがあるのに、展開するにしたがって思いが深まっていくというより、淡々と進んでいってしまう感じで、映像ばかりが過激になっていく感じがしてしまいました。全体的に何となく中途半端っていうか、いろんな要素がバラバラっと詰め込まれているような気がして、なんとなくのめり込めなかったのです。
 まあUKIUKIとしては、多田の爽やかさ、妹の死を悲しみ、怒り、そして淳子の”力”に戸惑いながら 思い悩む姿と淳子を想う一途な姿には ずーっと見とれていたんですけどね〜。。。
 それにしても牧原のペアで先輩刑事の石津ちか子(桃井かおり)の存在は、なんと言えばいいかそんな物語をなんとか引き締めてくれてると思いました。