恋を何年休んでますか <TV> (2001)



 社内結婚して今は2人の子供の世話に明け暮れる平凡な専業主婦の有子(小泉今日子)と、銀行支店長の妻 咲子(黒木瞳)は、売れない俳優の夫を支えている美容師 まゆみ(飯島直子)の店を中心に、心を許せる友人としてお付き合いしています。
 もうこの物語、そうとう深刻な状況がありまくりなのですが、彼女たちの関係が終始明るく気持ちよく描かれているので、意外なほど最後まで不愉快感を持たずに観てしまいました。そうなんです、咲子の娘 理沙(矢田亜希子)が有子の夫 良平(仲村トオル)と不倫の仲というのから始まってあれこれ・・・、こんな不倫オンパレードな物語は絶対受け入れられないはずなのに、それがいけないことだからっていうのではなく、そんなこと観ててもちっとも面白くないやんってことなんですが、でもこれはちょっと違ってました。

 まあ作品全体として思ったよりドロドロしてなくて良かったのですが、それというのもそういう部分は避けて通って、どちらかというと、そういうことをしてしまうそれぞれの人物が抱えている自分自身の心のつかえや願い、パートナーとの生活や心の繋がり、またお互いのかかわりの中での心の動きや気持ちを伝えたり伝えられたりしていく様子などを描いているようでした。だれのどこって具体的には言わないけど、この人のこんな状況あの人のあの気持ちが・・・といろんな部分で自分と重なるってこともあって、けっこう見入ってしまいました。だからどうしたい?って考えたときに、いまある現実をより良くしていきたいっていうか・・・、他の人とああいうふうには初めの段階で踏み出さないのがUKIUKIの感覚ですが、ここではみんな先に進んでいくんですよね。まぁいいや。。。

 親しき仲にも礼儀ありとか、相手のことでも自分のことでも思っていても口に出さないこととか、やっぱりあると思います。それは友人でも夫婦でも・・・、大切なことだと思います。でも、自分の気持ちを伝えるってことの大切さもあるって感じさせられました。そしてそれに対する相手の気持ちは、ちゃんと受け止めないと。。。

 ところで、伊藤英明はお見合い相手の母親 咲子(黒木瞳)にひと目惚れしてしまう 咲子の夫の部下の銀行員 沢村です。そしてとってもソフトで礼儀感のある態度でその気持ちを正直に前に進めていくんです。咲子はもちろん断ります。素敵な人だと思うし、心ときめいていても、いけないことと分かっていて何度も引き返そうとします。本当に好きな人なら、その人の将来を潰すようなことはできないと思うのは当然です。
 でもね〜、沢村ったら諦めずにデートや旅行に誘うんですよね。ずっと一緒にいたいから♪ 全てをなくす覚悟は最初から持っていた!なんて。彼でなかったらとても我慢できないしつこさなのに、むしろ爽やかなほど素敵なのが悔しい。あの目で見つめられたら、そして静かな語り口が素敵で突っ張り返せない。そっと肩にかける手に 抱き寄せる手に感情がこもっています。自分の部屋に咲子を招いたシーンも・・・ いやらしくなくていいです。伊藤英明はこういった強くも弱くもない ほどよい仕草や口調で、内面の熱い想いを感じさせてくれます。
 そしてとうとう銀行を辞めてボストン行きを決意、晴ればれした感じで咲子も一緒に来てほしいと誘うのですが、なんとも爽やか〜。