ブリスター! BLISTER (2000)


 オタクのための映画だな〜。でも嫌な感じは無いかな。万人ウケは狙ってないよね。オモシロイというか滑稽というか・・・。てな感じで始まりました。
 ちなみに、“ブリスター”とはあの中身が透けて見えるフィギアのパッケージのことで、彼らの常識としてはそれを開けてしまうと価値が暴落するのだそうです。

 アクション・フィギュアのコレクターで、恋人の気持ちも受け止めずに幻のフィギア“ヘルバンカー”を探すことで頭がいっぱいのユウジ(伊藤英明)。ほんとにバカみたいなフィギュアオタクを演じています。あらら伊藤さんも大のフィギュアファンだったそうですね(今も?)・・ユウジほどじゃあないでしょうけど(笑) この作品は、公開より1年半ぐらい前に2週間ぐらいで撮ったタイトな撮影だったそうで、なるほどユウジのハツラツとした勢いは何とも初々しい感じがしてました。
 ユウジの姿を見てるとマニアにはマニアの思いや情熱があるのだ!って伝わってきます。あの初めの弾けまくりの感じや、ナレーションの浮かれ具合が最高☆ そもそもヘルバンカーのフィギュアは存在するのか?証拠は本物か?ってことに、「迷信だよ!」とか「ニセモンに決まってんだろ」「眉唾だよ!」とか言われても 気にしな〜いって感じで ほゎ〜んとした笑顔、「ガセだよガセ!いいかげん目覚ませよ。」とまで言われても、反発して怒るでも どうしようかと戸惑ったりするでもなく、幸せそうな一瞬の表情が好き♪ でもそんなユウジばかりではなくて、彼の熱い思いをいろんな表情やアクションで観せてくれる伊藤英明に見とれてしまいました。乱闘シーンになったりもするけど、作品として抑制がきいていて、悲惨な状況にならないのが良かったです。バカバカしさ、と言っては失礼だけど 彼らの滑稽な真剣さを楽しめる作品でした。
 でも働いたお金をはたいて買ったら たいしたことない物だったりするところなんかは、すごく空しさを感じてしまいます。もちろん恋人との関係も心配で、そう、とってもノリがいいんだけど、時々不安になったり寂しい気分にさせられます。
 いよいよ“ヘルバンカー”を手にするために、ユウジがお金の工面やらなにやら見境つかなくなってくるのには胸が痛みましたが、恋人にケガをさせてしまったあたりから、ユウジが大切なことに気づいていってくれてホッとしました。 『手放せないだろやっぱ・・限定一体だからさ、オマエ』って、ユウジらしくっていいな♪ そしてあ〜なんという展開、”学んだ後は・・・”伏線がありましたね、創造的な気持ちが生まれたところが素晴らしいです。
 とにかく くどいようですが、前半のマニアックなユウジが、後半必死になってアブナクなっていって、終盤 気持ちが変わっていくその時々の表情が堪りません。

 いきなりオープニングもそうでしたが、ユウジのいる現実シーンの間に砂漠化した世界の物語が挿入されているけど あれあれっこれは何? 途中からユウジらマニアたちの物語のバックで進行する物語に気づいて、終盤からラストまできて あぁこういうことだったのか!と ニンマリしてしまいました。ユウジの物語が、作品のなかで むしろコアな 時空を超えたSF物語と、”ヘルバンカー”によって融合してしまったのでした。お見事!!

 また実写だけでなく 説明的な部分でコミック画も混在するという構成で、初めて観たときは、なんか消化しきれない感じも残りましたが、後から じわじわ〜っと おもしろい作品だと思えてきて、その後ユウジに会いたいな〜ってリピートする度に 作品自体が味わい深いな〜、楽しい!!と好きになりました。