明智光秀 〜神に愛されなかった男〜 (2007)


 これは明智光秀(唐沢寿明)に焦点を当てたドラマだけど、木下藤吉郎のちの豊臣秀吉(柳葉敏郎)もまた光秀の人生を左右したことに納得できるよう描かれていたと思います。織田信長(上川隆也)は、「国盗り物語」の信長ような魅力ある人物ではなく、いかにもっていうイメージ通りの描かれ方だったような・・、ここではそれで良かったと思いますけど。光秀の妻や子たちとのシーンはわりとありましたが、UKIUKIには彼の家族への想いが心に浸み込んでくるほどではありませんでした。光秀の妻は、見た目も話し方も もう少し大人の女性が良かったと思いました。秀吉の妻おね(小西真奈美)のシーンは少しだったけど、秀吉本来の人柄を支えていたように思いました。信長の妻や家族は描かれていなかったような気がします。でも光秀の婿養子 秀満はいい存在でした。演じた大泉洋は時代劇が初めてだったと後から知って、とっても馴染んでいたので少し驚きました。また、足利義昭役の谷原章介も、権力握りたくてしかたないけど信長にかなわないのがわからないのか惨めで情けないのに横柄で救いのない男そのもので良かったです。

 UKIUKIとしては、光秀に”神に愛されなかった男”感はあまりなかったような気がします。生真面目で損をしていたとか、特に晩年天下布武に突き進むばかりの信長との気持ちの行き違いはあったけど、自分なりに生きたではありませんか。「光秀は、なぜ信長を殺さなければならなかったのか!?」という冒頭のナレーション。天下を取りたくてしようがなかった男ならともかく、平和な世を願いそれを信長に託したけどそれもかなわず、初めはやたら明るく振舞って信長のご機嫌をとったりずるくて手柄を横取りしたりするのが嫌いだったけどその人柄に触れるうち天下統一を成す為の正統な後継者として認めることとなった秀吉に後の世を託して、金柑として地に落ちることを覚悟した画策が見事に当たったのですもの。
 比叡山焼き討ちを織田軍の総大将として決行したのが光秀だったとか、本能寺の変で光秀は信長とあのように言葉を交わしたのがよくある描き方かそうではないのかは、時代劇をあまり観たことがないのでわかりませんが、その後の世に言う光秀の三日天下は光秀の意志の通りだったなんてことも思ってもみませんでした。歴史や時代劇に疎いUKIUKIですし、いろんな部分について史実がどうだったかもわかりませんが、このドラマの内容からすると光秀と秀吉が意志を通わせていたというのは救いだったし、だから神は見放していなかったように思えるのです。そして、信長の世になることへの不安を感じたことや自分への扱いに不満を感じたにせよ、秀吉の存在がなければ光秀は信長を殺さなかったのかな〜、それとも秀吉を認める気持ちに至らなければ自分が天下を盗ろうとしたのだろうかなどとふと考えてしまいました。或いは気持ちが沸騰して信長を討ったものの後のことはあまり考えていなかったのかな〜というのが、今までの印象だったんですけど。。。
 話を戻しますが後から考えると、本能寺の変に至るまでの光秀の14年間について、信長との関係や家族への想いなど蓄積してきた心境を深く描かれていれば”神に愛されなかった男”としての光秀が浮き彫りにされていったのでしょうが、そのための時間が新春ドラマスペシャル約2時間では足りなかったような気がしています。

 っで、堀秀政役 伊藤英明は、よ〜く観ていないと見逃しそうでした(笑)いいです!予想の範囲内でしたから。。。いえ・・・もっと出て欲しかったのはヤマヤマですけど、「〜ジャンゴ」映画撮影の方に専念して欲しかったから、やっぱりいいです。
 オープニング間もなく馬で駆け込んでくるところ、TVの画面調節のせいかどうか・・映像が暗くて初め観た時はよく見えなかったし録画出来てるか確かめてて目を離してたりしました。リピートすると確かに彼です、勢いもあってカッコイイ! そしてその後のアップで気づいたんです。「・・・あとは、火を放つのみ!」のところの言い回し、この抑えた口調だけど内容の重さを感じさせる感じが好きなんです☆ そしてラスト近くになって同じシーンが映っていましたが、ほんの数秒でした。それでも2007年はじめての伊藤さん、彼の動きやお声や視線に釘付けなのでした♪