252〜生存者あり〜 (2008)


篠原祐司:中古車販売店店員、元ハイパーレスキュー副隊長(伊藤英明)
篠原しおり:祐司の娘(大森絢音)
篠原由美:祐司の妻(桜井幸子)
篠原静馬:ハイパーレスキュー隊長(内野聖陽)
重村誠:研修医(山田孝之)
藤井圭介:中小精密機器会社社長(木村祐一)
キム・スミン:銀座ホステス(MINJI)
海野咲:気象庁予報部職員(香椎由宇)
宮内達也:ハイパーレスキュー副隊長(山本太郎)
真柴哲司:本部長(杉本哲太)

 この映画は、現実に起こりうる最大級の複合災害を想定したパニック映画ということで、映像のリアルさを追及しつつ、そんな状況下で繰り広げられる様々な人間ドラマを描いています。説明的なセリフも多くて、わりとシンプル(?)に分かりやすく描かれていると思いました。
 現実離れしているほどドラマが集められている感はありましたが、まぁ誰にでも何処にでもドラマはあるわけで、それを観せるものとして作ると そうなるのでしょう。藤井の持ってた売れない新製品の薬品や部品が 輸血に利用できたり、祐司の誕生日プレゼントがあったので しおりが合図を送れたり、正直言って そんなうまいこと・・・というのも多々あるのですが、ドラマを展開させて楽しめるものにしていく要素ですね。そんなふうにしながら、描かれている感情は現実的だと思いました。だからシンプルだと思ったのかな。

 助ける側の感情、助けられる側の感情、綺麗事ではない様々な感情に気持ちを重ねて観ることができました。
 閉じ込められた人たちは それぞれに事情があって、そのどれもの背景に 家族愛が描かれていました。大切な人の存在は、絶対生きて還らなければならないと思う気持ちの原動力になりますね。助ける側も同じ気持ちを共有しているわけで、だからこそ絶対助け出そうともするわけで、そのためには 仲間内はもちろん、いろんな立場の人と人の繋がりも大きな力になっていくことがよく分かります。そして、助ける側も助けられる側も いろんな角度から命の重みが描かれていました。なんかすごい群像劇のようでもありました。

 っで 目の前で展開しているのが 祐司の家族で、しおりへの気持ち、妻の気持ち、兄 静馬との気持ちの繋がり。
 祐司がハイパーレスキューを辞めた事情もはっきり描かれていました。兄だけを助けたというよりは、一つでも失う命を少なくするための判断だったと思うのですが、その後どういう経緯で祐司がレスキューを去ったのか、何もかも描かず想像するのも必要とは分かっていますが、UKIUKIとしてはその時の祐司をじっくり観たい!・・って、時間的に無理ですよね。
 祐司が元レスキューとしての技術や判断力で、生き残った人たちと共に生還を果たそうとする しっかりとした頼もしい姿が 何気にすっごく かっこよくて、ウ〜ットリ♪ 人を担ぐシーンも多くて、流石並外れた体力があるはずと 力仕事も観せるネ!って感じ。時に過酷な判断もレスキューだからこそだし、でもそこに家族への愛や過去の出来事も絡んで、複雑な想いもあるわけで、主人公を綺麗事で描かない部分が見られて この作品を深いものにしていると思います。
 祐司と静馬が、お互いに相手は今どういう行動をしているはずかと想像し、相手の思いを感じている様子が垣間見られて、胸が熱くなりました。
 祐司としおりちゃんのシーンは、ほんとうに父性愛に満ちていて、すっかりお父さんの伊藤さん、いいですね〜♪ 見つめ合って 手話をしながらお話したり、抱きしめてあげたり・・・もうキュ〜ンとしちゃいます。大好きです♪
 離ればなれになると、大声で呼んで探すことできないし、閉じ込められたしおりちゃんに声をかけて励ましてあげることもできない。祐司が必死になってしおりちゃんを探したり救おうとしたりする姿にもまた、胸が熱くなりました。しおりちゃん、すごく孤独に恐怖と闘っているわけです。現実の災害が起こったら、しおりちゃんのようだったり、また障害によって様々に、より困難な状況に陥る方々が大勢いらっしゃるということです。
 しおりちゃんが土砂に埋もれてしまったときの祐司は、今までに観たことない伊藤さんだと思いました。当たり前ですね、今までになかった状況を体現されているのですから。突然の驚き、最悪がよぎる恐怖、どうすることも出来ない無念、取り乱し錯乱しそして絶望する、そんな父親のリアルな感情が溢れていて凄い☆と思いました。

 ところで、オープニングからの暫くの構成が 少しスッキリしない印象だったのは、レッド・カーペットセレモニーの伊藤さんで心も頭も容量がいっぱいいっぱいだったからかな。中盤で 登場人物それぞれの過去のシーンなんかで時が逆上ったりするのはいいけど、オープニングは直下型地震から始まって時間軸の通りに展開していってもよかったような気がしました。今度余裕のあるときに観たら、印象変わるかな。
 終盤、地面が崩落して 祐司と静馬と宮内副隊長でしたっけ(?) 三人が生き埋めになったところは、しおりちゃんの絶叫が切なくて絶望的で 胸が締めつけられる思いだったけれど、でもきっと生きて助かる!と信じて観ていたりして、どうやって・・・?と思っていたら、ラストがスゴイ!! エンターテイメントですからね。でもちょっと呆気ないんですよ。UKIUKIとしては、残された三人が 中でどうなったのか、祐司が頑張ってラストに持っていくまでのシーンを、ぜひ入れてほしかったです。

 以上、プレミア試写会(2008.11.4)で観たときの感想です。いつものことですが 伊藤さん照準で祐司中心(他 省略で すみません・・)になっています。(Comment 2008.11.6)


≪追記≫
 名古屋試写会(2008.11.10)で2回目の鑑賞をしました。前回はスクリーンが遠かったので 小さい映像で観たのですが、今回は目の前に広がる大きなスクリーンで観たので、ずいぶん違った印象でした。そしてUKIUKIは、前回気になったいろいろなこと、もうどうでもいいや〜って気分で、全てそのままを受け止めて観ることができました。前は胸を痛めながらも かなり傍観している感があったのですが、今回はすっかり作品の中に入って観ることができたのでよかったです。涙ポロポロ 何度もしちゃいました〜(笑)

 なんといっても登場人物の繊細な表情や細かい仕草がよく見えて、それぞれの思いに心打たれ、しおりちゃんにウルウル、もちろん辞めずに闘っている静馬の苦しみもより強く感じましたけど、やっぱり特に祐司の心情をより強く感じて もう堪らなくよかったです!!
 祐司がハイパーレスキューを辞めることになった事故当時のことを詳しくなんてもういいです。今まだそれを乗り越えられずにいる祐司がここそこに描かれていて、そういうの伊藤英明は上手いのだ〜☆ それをちゃ〜んとはっきり観ることができて、同じシーンを観ていても今回それがズキンズキンと心に響いてきました。そしてそれが父性愛だったり生還劇だったりと絡み合って、より見応えある祐司になっていました。ひとつひとつは省略しますが、例えば しおりちゃんが生き埋めになったときも、それがあるからあの錯乱状態というのが、より強く伝わってきました。しおりちゃんを見つけたときに、祐司の目に光る涙、前回は気づかなかったな〜。まぁ心の容量もありましたが、なにげなく観ていて気づかなかったところ、あれこれあったんです。

 そうそう、災害現場で土砂に埋もれた犠牲者の一人ひとりもはっきり見えて、怖ろしかったです。高潮が襲ってきて押し流される映像なんかの迫力も、凄かった。  登場人物それぞれの思いもより強く感じましたが、すみません 省略します。(Comment 2008.11.11)


≪追記≫
11月25日〜〜ちょこっとおしゃべり♪〜〜より一部転記
『映画秘宝』 ラストシーンについて話を向けられた伊藤さん、「あそこだけファンタジー的ですが、ひとつの希望の象徴と捉えています。」とは、そっかぁ〜 ナルホドっ!! スッキリしました〜!!!

ということで・・・
 2回目の鑑賞後に思ったことですが、ラストに繋がる終盤のシーンで、地面が崩落して祐司たち3人が取り残される少し前、静馬に「(以前の事故のことは)もう乗り越えたのか?」と問われた祐司は「まだだ」と答えていましたが(←セリフの通りではないかもわかりませんけど・・)、ラストを観て、きっと乗り越えたんだ!・・そう思いたかったんです。少なくとも気持ちが前向きに歩み出した!と・・・。担がれていた宮内が、途中で意識を取り戻しつつ微かにほほ笑みそのまま担がれ続けています。気がついたよと祐司に合図したり もう大丈夫だと下りようとしたりせず、そのまま・・・。彼は、事故のときのことやその後の彼ら(祐司や静馬)の苦しみを理解している人として描かれていたと思うのですが、彼も担がれながら、祐司は乗り越えた(or乗り越えつつある)と感じたのだと思いました。
 でもそれって都合のいい解釈かな〜、祐司は目の前の事と必死に闘っているだけで そういう思いを持つのはこれからかもしれないし・・と思って、この前は書けなかったんですね。
 でもでも 伊藤さんの言葉に支えてもらって・・・UKIUKIにとって あのシーンは、もちろん生還への”希望”と同時に、祐司があの事故のことを乗り越えて 改めて人生を前に歩み出すことへの”希望”を感じるものです!!
 蛇足ですが、その後の祐司が またハイパーレスキューに復帰したらいいのにな(まぁ現実にはそんなシステムはないかな・・)、いろんな思いを込めて活躍する祐司の姿を 観た〜〜〜い!(笑) あっでも、全く違う人生を見つけて 家族とゆったり過ごす時間もあって・・・というのでもいいんですよ♪ そのときは、観たいなんて言いません。そっとしておいてあげたいです。(Comment 2008.11.26)