Comment page 2008.9.19 renewal


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ザ・マジックアワー
The Magic Hour  (2008)


 ギャングのボス 天塩幸之助(西田敏行)の愛人 高千穂マリ(深津絵里)に手を出していたことがバレたホテルの支配人 備後登(妻夫木聡)は、死の制裁から逃れる条件として凄腕のスナイパー デラ富樫を5日以内に連れて来るよう命じられる。しかしデラは”幻の殺し屋”と呼ばれ、そんなの見つかるはずもなく、備後は替え玉をでっち上げることを思いつく。っで、三流役者の村田大樹(佐藤浩市)に、これは映画の撮影で主役の殺し屋をやってもらうと嘘をつき、ボスに引き合わせると・・・。っていうコメデイ!

 備後に好意を持っているホテル従業員の鹿間夏子(綾瀬はるか)が言っているように、映画の中の現実が既に映画の中っぽく、いかにもという綺麗な街並みのセットっぽいセットと、なんたって豪華な俳優陣を揃えて、何ていうか わざとらしく演出されています。そして村田をその気にさせる映画撮影、劇中劇だと観ていて気づかないほどのリアリティある劇中劇をいくつかの洋画で観たこと思い出すけど、この作品では 脚本的に演出的に むしろわざとらしくしてあるというか、行き当たりばったりな撮影で冷静に見てると不自然で、こんな映画の撮影は嘘だと村田にバレないなんて・・、また天塩には村田がデラを演じているのだとバレないなんて・・、そのきっとわざとなんでしょうっていうリアリティのなさを許せないと楽しめないでしょうね。そのあたりが許せないとか、テンポとか映像とかUKIUKIにはわかんない映画通が観る目で批判している感想をたまたま見かけたりしたのですが、UKIUKIはね、単純に楽しめましたよ〜! セメント詰めとか、撮影で嘘モノと思ってやっているのが本当の銃撃戦とか、すっごく危ないのに緊張感がないし、むしろ可笑しい。まぁ全体に そんな感じで、カラッと笑えます。

 「暗黒外の用心棒」のニコ(谷原章介)に憧れ、映画作りや演じることへの熱い思いを持っていて、でも騙されて 撮影そのものが嘘だとも気づかずに役にのめり込む村田の 可笑しさやら切なさが、いちばんの見どころでした。他の役はもし俳優さんが違ってもアリかな〜という気がするけど、村田だけは他の俳優さんだと別モノになりそうだと思いました。UKIUKIは、前半のうだつの上がらない俳優してる村田や その気になって殺し屋を演じる村田に見入っていつつも、どこか心の端っこで そんな情けな〜い俳優とか何も気づかず殺し屋を熱演する村田を演じている 佐藤浩市を観ている感じでもありました。村田が三流であることや、わざとらしい演出の妙がここにあると思いました。村田を佐藤浩市が演じているそのギャップが、作品のユーモアになっている感じでした。

 村田が自分もいつかはと夢に見ていた でっかいスクリーンに自分のアップが映っているのを思いがけず目にしたときの表情は、すご〜くよかったです。涙が出てくるまでの表情が UKIUKIは好きです。このときは 流石にジーンとしてしまいました。
 ニコを演じた俳優(高瀬允役、今は柳澤愼一)と出会った村田の興奮は、なんかわかるよ〜!って自分が可笑しかったです。
 タイトルのマジックアワー、その意味を冒頭で知って とってもいいな〜と思いました。映画のシーンでその瞬間を見つける楽しみができたな〜って。そしたら、終盤 高瀬と村田の語らうシーンで、人生にもそういう瞬間があるんだろうし、もしそれを逃しても必ずまたやって来る、何度だってチャンスはある、そんな希望とか楽しみとか、高瀬の言葉はそういうの何気に感じさせてくれました。
 まぁ何やかやと展開していって、全体的には大爆笑というのではないけれど何気に笑って楽しみながら、この物語って 結末の読めないところがいいな〜なんて思って観ていました。それで結局、ドカンと決着とか ドンデン返しとか 泣きの感動とか・・・ってこともなく、流れのままに賑やかに楽しくかな〜正直あまり印象に残ってないのですが、まあいいです。

 ところで、主要俳優さんだけでなく脇役さんが皆さん 人間味を感じさせてくれて とってもいいな〜って、ちょこっとしか出なくても弾着師(って言うかな〜?)の なべさん(榎木兵衛)とか印象に残るし、そういう作品って好きになります。 (Comment2009.1.1)